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もう一度だけ

「結婚するんです」
俺と?なんてふざけて切り返してやろうかと思ったけどしなかった。
震える声で告げられたそれは、冗談なんかじゃなかった。
遠くない先に、俺から離れていくのはわかっていたことだ。
その時が来たなら、手を離してやろうと決めていた。
こいつが幸せになれるのならそれが一番だと思っていた。
「最後にもう一度だけ、抱きしめてもいいですか」
「……やだよ」
もう一度なんてそんなことしたら、俺はそのままお前を離せなくなる。
俺だってお前を好きだったんだ。お前が会うたび俺に言った分、もしかしたらそれ以上。
ふざけてちゃかして、俺からは言うことなんて少なかったけど、大好きだったんだ。
無理だ。お前の幸せなんて願えない。お前の幸せなんてぶち壊してしまいたい。俺といることを選ばせたい。
もう一度だけでいい。好きだと言いたい。

「……幸せになれよ」
無理やりいつものように笑って、お前の背中を押した。