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女みたいに可愛い攻め

「涼さんって、優しいよね」
 俺の目を覗き込むようにして、ヒカルは言う。その距離があまりに近いせいで、さらりとした前髪の先が額に触れてくすぐったい。
 瞳に映った俺の表情さえ見て取れそうな近距離で、彼はにんまり笑って見せた。
「こんなんしても怒んないし。優しいなー惚れ直しちゃうなー」
「お前が可愛いからな」
「え、それって顔の方のこと?」
 形のいい大きな目が、ぱちくりと悪戯っぽく瞬く。
 俺の視界の九割以上を占めるヒカルの顔は、ああ、可愛いよ。顔は小さいわ、睫なんて俺の倍はありそうだわ、色は白いわ。手足も華奢で、背も俺とは頭一つ分違う。
 だから本当は四肢に乗る体重なんて軽いくらいで、押し退けるのも逆に押し倒すのも、俺次第じゃいくらでもできるんだと――俺もヒカルも解っている。はずだ。
 だから俺は首を少し持ち上げて、やつの頬に口付けを乗せる。
「……お前が愛しいからな」
 言葉だって、言い直してやる。
 途端に笑み崩れるヒカルの顔が、天使のように見えるのは、何も惚れた欲目ってだけでもないはずだ。
「涼さん、大好き。世界で一番好き」
 白い頬に朱色を乗せて、恥ずかしげもなくそんな言葉を口にする。
 そういう表情が、言葉が、一々俺の胸を打ち抜いてくれるから――本当に困ったもんだと、俺も静かに頬を緩ませた。