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妖怪と天使

「帰ったぞー」
「おかえりなさい」
「食い物あったから持って帰ったぞ。お前が食べれるやつ。食え」
「いえ、私はしばらく食べなくても大丈夫ですから、どうぞ貴方が…」
「いいから食えって。変な遠慮すんな。ほら」
「……すみません。それではお言葉に甘えて」
「にしても面倒だよなあ、『供物』じゃないと体が受け付けないなんて」
「普段はコンスタントに食物を摂る必要などないのですが」
「ま、ケガしてるから仕方ねえだろ。食わないと治るもんも治らない」
「ですが本来は貴方へのお供え物なのに、頂いてしまって」
「気にすんな。俺は畜生あがりだから供物じゃなくても食える」
「今は何を召し上がっているのですか?」
「んー、山で採れる木の実とかだよ。本当は村の畑でも荒ら……いやいや
 畑から少し恵んでもらう手もあるんだけどよ、あいつら社の掃除きちんとやりやがるし
 たまに供物も持ってくるしな。護りこそすれ、祟るのはふぇあーじゃねえだろ」
「本当にすみません」
「いいってことよ。恩返しの御心がねえ奴は、この界隈じゃやっていけねえからな」
「恩返し、ですか」
「おう。あ、そういや恩返し有名人の中に鳥の娘っこが居るぞ。知らないか?」
「いえあの、確かに翼はありますが、私は鳥の化身ではないので……」

「そうなのか?まあ、とにかく向こう山のジジイ天狗の鉄拳喰らわなくて済んだのはお前のお陰だ。
 だから恩返しだ。そのケガが治って親父さんとこ帰れるまで、きっちり俺が面倒みてやるからな!」
「ありがとうございます」
「おう。さあさ、食え食え」
「はい。それでは、いただきま……」
「(じー)」
「…………」
「(じーーーーーー)」
「……。あの」
「ん?なんだよ、だから俺に遠慮しないで食っていいんだぞ」
「いえあの……。そうだ、貴方さえよければ、半分こにしませんか?」
「半分こぉ?」
「はい。一人だけ食べるのは何だか私が寂しいので、一緒に食べて頂けると嬉しいのですが」
「……しっ、仕方ねえなあ。お前がそう言うなら食ってやるよ。あっ、でかい方がお前の分だからな」
「ええ、ありがとうございます。それでは改めて、いただきます」
「おー。いただきますっと」

(父なる神よ、お許しください。すぐにでも天上へ戻らねばならないのに
 私は此処に少しでも長く居たいと思ってしまっています。でもどうか、もう少しだけ――)