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古傷

 足首の付け根に巻かれた包帯から垣間見える、痛々しい傷跡にそっと触れる。
琢磨は身体を強張らせ、ぐっと目を細めた。徹はその様子を眺めながら、苦虫を噛み潰したような顔を見せる。

「痛い?」
「痛くは、ないけど。お前に触れられると、熱くなる」
「……そっか」

白い羽根のような微笑だと、徹は思った。
この傷をつけたのは自分なのに、咎めようとしない彼の優しさは、極稀に徹を締め付ける。
いとおしげに傷がある部分をゆっくりと撫で、くちづける。

「んっ」

普段聞かせないような甘い声。
ふと、傷跡は他の部分よりも敏感なのだと言われたことを徹は思い出していた。

「この傷がある限り、ずっと傍におるから」

そう言って睨みつけるように、じっと傷跡を眺める。
すると頭上から琢磨がなあ、と声をかけてきた。顔をあげる。

「うん?」
「この傷跡、消せるんだって。手術で」
「そうなん?」
「うん、でもさ」

また軽やかな優しげな微笑。けれどもそこには悲哀の色が差し込んでいる。
こくり、と徹の喉仏が上下した。


「消さないで、いいかな?」