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ギリギリアウト

 どこからが駄目で、どこからまでが大丈夫なのか。その境界線はとうにわからなくなった。
伏せられた長い睫毛が作る影を見つめながら、息を漏らして彼の頬を撫でる。
びくりと震えるその様子がまた愛おしくて、指先でそのまま首筋に触れた。
僅かに濡れた瞳がじっとこちらを見つめてくる。何かを期待しているような、はたまた怯えているような。
そんな様子がまた加虐心を煽った。どうにかおさえようとするも、自然と微笑が浮かび上がる。
「ねえ、誘ってる?」
「……」
彼は答えず、唇を僅かにかみ締めたまま視線をそらす。
茶色い鮮やかな髪が揺れた。それが俺をさらに煽ることに、きっと彼は気付いていない。
ゆっくりと近づいて、真っ白な頬にくちづける。ちゅ、とはじけるような音がした。
そのまま舌を這わせてやると、躊躇いがちに彼の低くも高くもない変わった声が吐息混じりに漏れる。

 ねえ、と甘い声で彼が呟く。耳元で、出来るだけ低い声でなあに、と返してやると、また身体が震えた。
「……俺らって、いったい、なんなの。どういう関係なの。俺、お前の気持ち、わかんない」
まるで駄々をこねる子供のように唇を尖らせたような声で。
俺はふっと微笑んだ後、黒い指先で彼の視界を塞いだ。そしてまた、彼の耳元に唇を近付ける。
「俺たちはただのオトモダチ。俺の気持ちなんて考えなくていい。何も、考えないでいいよ。全部、俺のせいにしていいから」
俺がトチ狂って、こんなことをしているだけ。貴方は優しいから全てを受け入れてくれているだけ。
それでいい。それがいい。
「(そう、ただのオトモダチなんだ)」
何も言わない彼をよそに、俺はまた自分に言い聞かせるように心のなかで繰り返して、そっと彼に口付けた。