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外国人×日本人

家の内外は掃き清め、打ち水をした。
茶菓子は以前美味いと言っていた物を探し出し、夕飯は和食だけ
ではなく彼の国の口慣れたおかずも一、二品入れる。
風呂場を磨き布団は天気のいい日に干した上等の客用布団を用意し、
お気に入りの飼い犬の毛並みも整えておいた。
準備は万全とはいかないが、一通り済んだところで縁側で一息入れる
ことにする。

『歓迎』とは、読んでそのまま相手を歓び迎えるという意味である。

そういう意味であるのならば、俺は確かに彼の訪問を歓迎している
のであろう。
どうせ気付かれないと分かっているのに、こうしてこまごまとした
気遣いをもって迎える準備をしてしまうのだから。

それでも、たとえ気付かれなくても準備に心を砕いてしまうのは、


「Hey、輪之助!ヒサシブリ!」

っておいこら庭から入るな折角玄関に打ち水したのに一応庭にも水を
撒いていたけど、ちょと待て俺はまだ掃除したままの着物で着替えて
なくて汗臭いからくっつくなハグすんなこちらとら抱擁なんて挨拶では
しない硬派かつ控えめな日本男児なんだ…って

「お前、来るのが早すぎじゃないか?」
「一本早い飛行機が取れたから、驚かせようと思って黙っていたんデス!」
「お前な…迎える側の事を考えろと何度言ったら」
「ソレニ、早く会いたかったカラ!」
「…」

…どんなに気付かれなかろうとも用意した気遣いを無駄にされようと俺が
迎えの準備に心を砕いてしまうのは、それ以上にこいつが俺に会うのを
『歓』んで『訪問』してくれるから。

(喜びをおおっぴらに表現することは苦手だけれど)

少しでも伝われば、と思い、俺はそっと相手の背に手を回した。