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執事と僕

「書類は揃えましたし、当座はあれで大丈夫でしょう。
 …さて、御主人様は…軽い脳震盪、ですかね。
 気絶というより、もう眠っておられるようだ。
 だいぶお酒を召し上がられているようだし、最近お忙しくてお疲れだった影響もありそうですね。
 ベッドに運んでおきましょうか」
ファサ
「一応、朝起きたら医者を呼ぶようには指示しておきましたが、
 変ないびきもかいていないようですし、とりあえず無事そうですね。
 …良かった。」フウ
「さて、待ち合わせまであと1分少々ありますね…ふむ。」

「ご主人様、起きて下さい。」
「…うーん、もうちょっとー…」
「朝ですよ。起きて下さい。」
「…あと少し…だけ…」
「起きなさい!ぼっちゃま!」
「ひあ!爺!?ごめんなさい!…え?」
「おはようございます、御主人様。
 …まったく、だからあれほど御就寝前のお酒はお控えくださいと、爺が口を酸っぱくして申し上げたではないですか。
 酒は百薬の長ですが、過ぎると毒なのですよ。」ガミガミガミ
「…ちょっとまって、爺?あれ?なんで?」
「理由はこちらです。」ペラリ
「…辞表…」
「はい、2枚。」
「…あー…」
「さて、御自分の一時の出来心のせいで、優秀な部下を2人も失った御気分はいかがですか?」
「夢じゃなかった…」ショボン
「ええ、おかげさまでこのロートルまで駆り出される事態です。」
「…ごめんなさい。」
「とはいえ、屋敷内の者たちの気持ちが動揺しているだけで、引き継ぎ書類は完ぺきでした。
 ざっと目を通しましたが、すぐには困りませんし、たちまち代わりの者でも処理できるようになっておりましたよ。」
「そうか」
「まったくあの子たちは優秀な人材でしたねぇ。ああ惜しい惜しい。」
「…泣きながら床擦り土下座で謝ったら、許してくれないかな…」
「それはかつての坊ちゃまの得意技でしょう。
 まだお可愛らしかった御幼少のころならともかく、今のご容姿でされても不気味なだけです。」
「だよねー…。爺!」
「はい」
「今回の件は、私に全ての責がある。急ぎあの二人を探してくれ。」
「そうおっしゃると思いまして、現在ツテを総動員して捜索中でございますよ。」

「そうか…私のことは許せないだろうが、今まであれほど心をこめて勤めてくれた者たちだ。
 …退職するなら、きちんと退職金ぐらいは持たせたい。」
「まあ、そうできなくさせたのは坊ちゃまですけどね」
「ぐ…っ!」
「ご主人様の言葉というのは、下々のものにとって、御自分で思っておられるよりはるかに重いのですと
 この爺が口を酸っぱくしてお教え申したではないですか。
 だからこそ上に立つものは何時でも理性と知性を失ってはならないのです。
 だいたい坊ちゃまは…」グチグチグチグチ
「…ごめんなさい…。」
「爺は情けのうございますよ」フウ
「泣き土下座でなんとか」
「なりません。」
「だよね。」ショボン
「あの二人、戻ってくるといいですね。」
「うん。」
「…さて、目が覚めたのでしたら屋敷の者たちに声をかけてやって下さい。多少落ち着いたとはいえ、まだ動揺しておりますから。」
「わかった。」
「あくまで普段通りにお振る舞いになるように。当主たるもの、な」
「何事にも動じてはならない。」
「よろしい。」
「…なあ、爺。」
「なんですか?」
「…本気だったんだよ。」
「存じておりますよ。」
「うん。」
「ですが次に恋をされた際には、まず恋文からお始めになるよう、老婆心ながらご忠告申し上げます。」
「…はい。」
「さあ、起きて下さい。…ああ、そうそう。皆の前に顔を出す前に、洗顔だけは済まされて下さいね。」
「?? うん、わかった。」


~洗面所~
主(゜Д゜)人←額に流暢なラテン語で「ちんこ の のりもの」