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無気力系年下×おっとり系年上

電話が留守電になっていたけれど、どうせいるだろうなと思ったらやっぱりいた。
洗濯物が畳まれずにまだ山になっている。その横に灰色の塊が落ちていて、そよ風に前髪を揺らしながらべっとりと床に癒着している。
うつ伏せているのでよく分からないが多分まだ寝ているのだろう開きっぱなしの窓を閉める。風を含んでいたカーテンが音もなく戻ってくる。
昨日ぶりに洗濯物をたたみ始める。寝ている頭が洗濯を枕にしているのでちょっとやりづらい。そう思ってふと見ると、真っ黒な目が開いていた。
「プリン」
と口だけが動く。
「プリンくれ」
コンビニの袋がガサガサしていたので分かったのだろう。また袋をガサガサさせてプリンの蓋をむいてやる。
「あーん」
一口分救ったプリンを口元まで持って行って、食べようとした瞬間に手を引っ込める。
自分で口に含んでしまうと露骨に恨めしそうな表情する。面白くてつい笑ってしまう。ますます露骨にむっとされる。
「プリン食わせろ」
「だってアザラシみたいで面白いから」
「アザラシじゃねえ」
「タワシ」
「タワシじゃねえ」
「そうだね」
なだめすかすように言ったのが気にくわなかったのか、左手を掴まれて人差し指をガリガリと噛まれた。
「痛い痛い」
本気で痛いので手を引っ込めると、なぜかうっすら得意そうだ。

「そうだった」
ソファに寝そべって本を読んでいる途中、急に思い出して聞く。
「明日来れないんだけど生きていける?」
「別に死なねえし」
少し間が開いて、フンと鼻息を荒くした返事が聞こえた。
それを聞いて安心したのもつかの間、床から爬虫類のようにズルズル這い上がってきた。あっという間にのしかかられる。変に素早い。
「おもっ」
重いと抗議しているうちにゴツンと口がぶつかってきて、チュウチュウと間の抜けた音がする。キスをされた唇を思い切り吸い上げてくるせいだ。これにも痛いと言いたいが、気を悪くしそうなのでやめておく。
「する?」
「する」
代わりに聞くと今日一番力強く頷かれたので、少し照れくさくてタワシ触感の髪の毛を一房ひっぱる。今度は向こうが「痛い」とじたばたしていた。