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そして僕は逃げ出した

「おっしー」
学校帰りに寄ったマックで、加藤が急に口を開いた。いつもはシェイク飲んでるときだけは黙っているのに。あといつも言ってるけどその呼び方やめろ。
「なんだよ加藤。おとなしくシェイク飲んどけ」
「いやー、おっしーっていい奴だよなと思って。おれこんななのに長いこと一緒にいてくれてるし」
「はぁ?」
こいつは急に何を言い出すのか。シェイクに変なものでも入ってたのか?
幼馴染ゆえ付き合いは長いが、こんな事言われたのはじめてだ。キモイ。
「だってさ、おれ超おしゃべりじゃん?」
「もう慣れた」
「おれ超ドジじゃん?」
「小学生のころよりマシだ」
「おれってば自ら危険に首突っ込むところあるじゃん?」
「何かあるとすぐ逃げる僕よりマシだ」
「おれゲイじゃん?」
「面食いだから僕に実害ないだろ」
「でもおれおっしーの事好きになっちゃったよ?」
「…は?」
「…好きです。おっしー…押野…しんちゃん…」
近い近い近い。こいつは何を言っているんだ。近い近い近っ…!

そして僕は逃げ出した。マックの外に出たあとも、全力で走った。何かあるとすぐ逃げる自分が嫌になる。すぐに返事をすればよかった。ずっと言いたかった事なのに。

僕の初恋の相手の唇は、僕の嫌いなシェイクの甘ったるい味がした。
でも僕は、久しぶりに加藤が名前で呼んでくれたのが嬉しくて、スキップしながら明日は僕の大好きなブラックガムの味であいつの唇を奪ってやる事を考えていた。