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日本刀

たとえ叶わぬ思いであろうとも、貴方が僕から離れようとも、生涯この思いを貫くつもりでおりました。
それなのにこの状況はどうしたことでありましょう。
まさか貴方の御身を貫くことになろうとは!
この思いを貫こうと思わなければこんなことにはならなかったのでしょうか。
こんな気持ちを抱いてしまった僕をどうかお許しください。
お慕いしております。心の底から貴方のことをお慕いしているのです。
貴方が僕に微笑みをくださった時から僕は貴方のことだけを考えてまいりました。
貴方のお傍にいることができてしあわせでございました。
貴方の温もりは忘れません。
願わくば貴方の横で眠りたい。
ああ、さようなら。

一人の男が切腹を命じられた。
男は「切れ味が良いから自分の刀を使ってくれ」と言った。
馴染みであった介錯人は男の最期の頼みを引き受けた。
切腹は滞りなく済んだ。
介錯人が懐紙で血糊を拭き取ったが、一か所だけどうしても拭き取ることができなかった。
美しい刀身にやや滲んだ形で染み込んだその一滴は涙の跡に思えた。
愛撫するかのように指を滑らせた介錯人はそこがほんのりと温かいことに気が付いた。