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原始人×サラリーマン

「ただいま帰りました」
「おう」
「違いますよ。この前教えたでしょう、『ただいま』には?」
「オカエリナサイ」
「はい。ただいま」
「お前、笑ってる」
「あなたにお帰りと言って貰えると、今日も一日頑張ったなって、ホッとするんです」
「よくわからないけど、お前が笑うならオレ嬉しい。腹減った」
「え?まだ食べてなかったんですか?」
「おう」
「今日は残業で遅くなるから先に食べて良いですよと、伝書鳩を飛ばしたんですが」
「ハト。来なかったぞ」
「え?ああ、それは……また途中で誰かに射落とされたのかな。それか獣に襲われたのか」
「!? オレじゃないぞ!」
「わかってますよ。あなたは目がいいから、ウチの鳩ならわかるでしょう」
「わかる!」
「困ったな。これで三羽目だ……やっぱり、電話を使う方に切り替えませんか」
「ケータイ、オレは壊すからだめ。お前が言った」
「それはあなたがストラップを槍に括りつける所為なので。もっと大事に扱ってくれればいいんですよ」
「大事にしてたらお前怒ったぞ」
「家に置いて狩りに出かけたら、携帯電話の意味がありません」
「よくわからない。腹減った」
「うーん、連絡手段については要検討ですね。何か考えておきます」
「おう」
「さて、今日のご飯はなんですか?」
「肉!」
「おお、これはもしや照り焼きですか。いつもは塩なのに。勉強したんですか?」
「した!隣のアイツに教えてもらった!!どうだ!?」
「これは驚きました。本当、お隣さんにはお世話になってばかりですね。この間はお米を頂いたし」
「む」
「お歳暮をお送りした方がいいか。ああ、余った肉をお裾分けする方がいいかもな」
「むむ」
「とりあえず、明日の朝に寄ってお礼を言っておきます。バス停へ行く途中ですしね、お隣さん」
「…………」
「あれ、どうしたんです。そんな顔して」
「いやだ」
「はい?」
「オレ、お前が喜ぶと思ってアイツに習ったのに。アイツもお前が喜ぶと言ってた」
「え。嬉しいですよ。僕、照り焼き好きですし。なにを怒って、」
「だけどお前、アイツのことばっかり。だからいやだ。お前はオレとツガイだろう。アイツじゃない」
「……ああ。なるほど」
「なんで笑う!オレはイヤなのに!」
「いえ、少し嬉しかったので。……すいません。僕は仕事柄、つい先方との付き合いをまず考えてしまう」
「よくわからない!」
「すいません。でも僕はあなたのパートナーなので、あなたに代わってお返しなどはちゃんとしたいんです」
「パートナーってなんだ」
「番ということです。僕はあなたで、あなたは僕なので」
「?? オレとお前は違うぞ」
「ええそうですね。要するに、女房面がしたいんです。僕の自己満足ですよ」
「お前の言うことはいつも難しい」
「でもまずはあなたにお礼を言うべきでした。……改めて、夕飯ありがとうございます。それからごめんなさい」
「……お前、テリヤキ嬉しいか?怒ってないか?」
「照り焼きも嬉しいですし、僕が喜ぶと思って頑張ってくれたあなたの心遣いが何より嬉しいです」
「たくさん嬉しい?」
「はい」
「そうか!!オレ、頑張ったからな!テリヤキ、覚えたから明日も作れるぞ!」
「いや、毎日だとちょっと」
「なあなあ、腹減った!もう食べよう!」
「そうですね。それじゃ、いただきます」
「イタダキマス!!」