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嫌われ者の言い分

「お前なんて嫌いだ。お前はいっつも俺の事なんか気にしないでピアノばっかり弾いてる」
「……」
「せっかくの休日なのに、お前は俺じゃなくて楽譜ばっかり見てる」
いきなりの俺の言葉に、淳は肩をすくめた。
「……休日だからってだらけてると、指が動かなくなるんだよ」
そしてそんな事を言い、またピアノの前に座る。

「お前なんて嫌いだ」
「……」
「嫌い」

ピアノに向かって座る淳の後ろで、拳を握る。
こんな気持ちになるなら、ピアノを壊してしまおうか。彼の指を折ってやろうか。
そんな汚い感情でいっぱいになった。

「…ピアノに妬くなんて、情けないな」
淳が大きく溜息をつき、俺の方に向き直る。
「嫌われ者の言い分、ってのも聞いてくれないか?」
「…なんだよ」
「愛してるお前に素敵な曲を聞いてほしいから、俺は休日でも練習するんだよ。…納得してくれた?」

顔が熱い。

「…そんなんで、納得する、かよ…!」
「納得して頂けたようで」

彼がまたピアノに向き合い、複雑な曲を弾き始める。
こんな曲を、俺のために練習してくれている…。
少し、嫌われ者の言い分を聞いてやっても良いと思った。