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センター試験

『トモ先輩、愛してますー!』

突然聞こえてきた聞き覚えのある脳天気な声に、思わず飲みかけのコーヒーを吹く。
慌ててテレビを振り返るが、既にダイジェストは終了して画面は番組の開始挨拶をするアナウンサーに切り替わっていた。

そんな事があったから、それからずっとテレビをつけっぱなしにしていた。いつもならバラエティ番組を見ている時間にも、チャンネルはニュースのまま。
やがて話題は歳時のニュースに移り、見覚えのある建物が画面に映る。
「…そっか、今日ってセンター試験だったんだ」
期待に高鳴ってひっくり返りそうな心臓を押さえながら食い入るように画面を見つめる。
やがて、試験会場の光景から受験者一人一人のインタビューに切り替わると、見覚えのあるはしゃいだ顔が画面いっぱいに映り込んだ。思わず懐かしい呼び名が口をつく。
「ハル…」
記憶にあるよりも少し大人びた顔立ちが、記憶とまったく同じに笑う。

『トモ先輩、愛してますー!』

次のニュースに向けてフェードアウトする音声。
無音の画面の中、『絶対に追い掛けますから』と唇が動いたのが見えた。

頭が真っ白なまま、震える手で携帯を手にする。
「…信じらんねー!番号交換して一年間一回も電話してこないでいきなり公共電波でああいう事言うか?
というかテレビ局!センターに関係ない台詞流すなよ…!」
ひっくり返った声で呟きながら、初めて彼の携帯に電話をかける。
なにはともあれ「二日目も頑張れ、そして追い掛けてこい」と告げるために。