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かごめかごめ

「かごのなかのとり、とは腹の中の赤ちゃんのこと。夜明けの晩に滑って流産したって比喩だ。
しかし一説には息子を溺愛する姑に背中を押されたって説もある。いずれにしろ悲しい唄なんだ。軽々しく口にすんな」
まーた始まった。
『日本の民話童謡研究会』なるサークルの一員である彼は、何かにつけ俺の話の腰を折る。
「じゃいいよ。明日ははないちもんめで遊ぶから」
「花一匁とは花=子供、匁=金銭単位。つまり口減らしのための人身売買の唄だ。
あの子が欲しい、この子が欲しいと売られていった子供の気持ちを考えた事あるのか」
「…。」
そんな唄なんかよ。
「あっえっとさ、今日さ、初めて絵本読ませてもらったんだ。純真無垢な瞳に見つめられてドキドキしたよー」
「何読んでやったんだ?」
「ピーターパン!ちょっとトチッちゃったけどどうにかうまく、」
「ピーターパンなんて野蛮な話を聞かせるな。あれはなピーターパンが成長した子を殺してるから子供の仲間しかいないんだ」
「…、じゃ明日は狼と七匹の子やぎにする」
「子やぎちゃんもダメだ。あの話は中世の西欧の森に住む犯罪者と犠牲になった子供や人間狼裁判など、事実から作られてるんだ。
腹を裂かれ石を詰められる刑も実在した。そんな背景を知ってお前は笑顔で語れるのか?」
「ダァー、もうウザイ!ウザイ!黙って聞いてりゃいい気になって。
だいたいお前日本民話研究してんだろ。いちいち文句つけるな」
「日本の民話を知るにはまず外国の民話や童話も知らねば深く洞察できない。
文句言ってるわけじゃない。真実を教えてやっただけだろう」
「真実がどうあれ現代の解釈じゃファンタジーなんだよ!ファンタジー!かごめもはないちも楽しい遊び唄!
俺はただ憧れの保育士になるための初めての実習での出来事を、お前に聞いてもらいたかっただけなんだよ。
頑張れよとか良かったなとか、言って欲しかったんだよ。 誰が講釈垂れろって言った。」
頭に血が昇り一気にまくしたてた。
隣りにいたくなくて、流しに向かい黙々と洗いものをする。
誰がお前の皿なんか洗ってやるか。
怒り心頭でブツブツ言っていると、いきなり後ろから抱きすくめられた。
「うしろの正面だぁ~れだ」
アホか、お前しかいねえだろがよ。
おいこら、首筋キスすんな。
あぁウゼぇー。
ついお前の皿も洗っちまったじゃないか。

明日はやっぱり、かごめかごめで遊ぼう。