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オークション

『・・・・・・・・・・・・・・・
 お近くでしたら手渡しも可能です。
それではご連絡お待ちしています。

 000-0000 ○○県××市△△町1-1  ☆☆ユウジ』

送信クリックしてから、しまったと思った。
あるはずもない出会いを期待したりして、つい手渡し可能としたことを後悔した。
相手は還暦のジィさんかも、いやヤーサンかもしれないのに。
ヤバい!どうしよう…。

コンビニバイトもさすがに深夜のこの時間は暇だ。
「ケイさん、手渡しってしたことあります?」
「いやないよ。面倒だしな」
「俺昨日落札されたんだけど、間違って手渡し可能ってメールしちゃったんすよ。
まだ返事はこないんだけど…やっぱそんなこと書くんじゃなかったな」
「大丈夫だろ。相手も郵送希望って言ってくるさ、普通。
万一手渡しって言われたらちょちょっと渡してくりゃいいじゃん。」
「そっかな?でもカテがカテだし…、怖い人だったらどうしよう」
「?、なにヤバいカテ?何出したん?」
「ヤ、ヤバくはないけど…えっと、ちょっとした雑貨です」
「雑貨ねぇ、今日あたり返信くるだろ。まぁもし手渡しになったらついていってやるよ」
「あっいや、いいっす。子供じゃないから大丈夫っす」

とは言ったものの、まさかホントに手渡し希望してくるとは…。
あぁどうしよう、やだなぁ。やっぱダメって断ったら雨降るだろうしなぁ。
もう約束の時間はとうに過ぎている。
「おい、ユウジ。何してんだ?」
「!!、ケイさん!」仕方なく待ち合わせだと白状する。
「そっか。じゃ一緒に待っててやるよ」
断っても、大丈夫大丈夫って…。まぁ渡すだけなら中身バレないよな。平気だよな。
だけど30分待っても1時間待っても落札者は来ない。

「なぁ、、、おまえの出品したのってこれだよな?」
いきなり差し出されたケータイ画面には、
紛れもなく俺の出品した『灼熱の薔薇~穴瑠の中心で愛を叫ぼう~』のDVDが!
なんでそれが…なんで分かったの?
あぁ憧れの大好きなケイさんに知られてしまった。もう駄目だ、軽蔑されるに決まってるー。
「これさ、落札したの俺」
「はぁ?…うそ…、だって仲山って書いてあったし…」
あっ、ケイさんって仲山ケイだっけ?!でもでもなんで…。
「つまりさ、そういうこと。帰ってからメールチェックしたら、オクの案内来ててさ、
開けたらおまえの名前があるじゃん。びっくりしたよ。」
「…」
「ごめんよ、探り入れたみたいでさ。」
ケイさんは混乱する俺に2830円を握らせると
「なぁ、これから暇? 『AL-WAYS 二丁目の夕日』のチケット二枚あるんだけど行かね?ほら純君の出てるやつ。
おまえを誘おうと思って買っといたんだけど、なんか言い出しづらくてさ。オクに感謝だな」
「え?」
「それとも俺ん家でこれ一緒に見る?」
「えぇー!」
「俺とデートじゃ嫌か?」
イヤなわけないじゃん。なのに、あまりに急な展開に頭は爆発寸前で言葉が出てこない。
さぁ、行こう、と手を差し出すケイさん。
「う、うん」
一瞬のち、俺はドキドキしながらその手をとった。