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バスの運転手

いつものようにバスを降りようとして、ズボンの後ろポケットから財布を取り出そうとした。
財布に定期を入れているからだ。

……が、ない。

空っぽのポケットを虚しく探る手を引っ張りあげて、どうしたものか悩む。
でも、ここで降りないわけには行かない。会社に遅刻してしまう。
暗い顔のまま運転手の前に出た。
「あの……定期を入れた財布ごと忘れてきてしまって……どうしたらいいですか?」
運転手はなぜか爽やかな笑顔になった。
「かまいませんよ。いつもこの時間のバスに乗っていらっしゃる方ですよね? また明日見せてください」
「あ、ありがとうございます!」

頭を下げて降りたあともずっと彼の笑顔が忘れられなくなってしまっていた。