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明日もし晴れたら別れよう

元々この部屋に俺の持ち物なんて殆どなかった。
僅かな服と文庫本を詰めれば、擦り切れたバッグ一つに納まってしまった。
お前は部屋の隅にうずくまって、じっと畳を睨んでいる。
あとは俺がこの部屋を出るだけで、それで全て終わる。
ああ、だけれど、雨が降っているから。
冷たい雨が明け方まで続くでしょうなんて、テレビが言うから。
そうして俺は傘を持っていなかったし、最期までお前に借りを作るなんて。
まだお前から何かを与えられるなんて、耐えられなくて。
だからといって優しいお前に、こんな寒い雨の日に男を追い出したなんて
理不尽な罪悪感は、とても負わせられない。
だから、あと少しこの部屋で二人、雨音を聞いていよう。
明日晴れたら、俺は颯爽とドアをくぐるから。