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毛布に包まる

「適当に座っててくれ。」
「おー……。」
と言いつつ奴は辺りを見回している。
珍しいものなんか何も無いぞ。
「布団発見!突撃ー!」
俺の布団に寝転ぶな、子供かお前は。
ゴロゴロと転がっているリュウジを無視してお茶を用意する。
茶葉を急須に入れていると何度も俺を呼ぶ声がする。
茶を入れるのに集中したいのに何事だ。
「五月蝿いな、白湯飲ますぞ。」
「これすっっっっごく気持ちいい!なにこれ!」
何って、
「毛布だろ。」
リュウジは何が楽しいのか毛布に包まって笑いながら脚をバタバタさせている。
そうかと思うと急に体を起こしてシャツを脱ぎ始めた。
「なっ、何やってんだよ……。」
「これの感触をもっと味わおうと思って。」
相変わらず突拍子も無いことを思いつく奴だ。
「風邪ひくからやめろ。」
そう言っても「えー。」とか「お前も一緒にどうよ。」とか言うだけで止める気配が無い。
腕を動かしたり頬擦りしたりするたびに鎖骨や胸や背中が見えて目のやり場に困る。
「今日はDVD観るんじゃないのか?」
「観るよ、寝ながら観る。」
結局奴は借りてきたDVDを見ている間ずっと毛布と戯れていた。

――俺はもうあの毛布をただの毛布として見る事は出来ないだろう――

「か、買い換えようと思ってたところだし、そんなに気に入ったならその毛布お前にやるよ。」
「え……本当に?ありがとう!」
ちょっと困惑した顔の後、素直に喜ぶリュウジの純粋な笑顔に心が痛んだ。




見送りを断って、大きな袋を抱えて玄関を出る。
ドアが閉まったのを確認すると笑顔を崩す。
「……ばか。」
どこまで鈍感なのか分からない想い人からのプレゼントを抱えなおすと、リュウジは早速次の作戦を考え始めた。