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ヤンキー君とメガネ君

「わりぃな。すぐ返すから」
嫌がるメガネ君の懐から無理やり財布を抜き取り、金を抜く。
返した事は一度もなかった。アイツはいつも何も言わずに泣いていた。男のくせに。
 ***
「またメガネ君から金とったのかよ。悪い奴だね」
ギャハハと笑って煙草の火をつけながら東が言った。
「だってアイツうぜえし。金もってるし」
俺の手にはビール。堂々制服です。はい。
「メガネ君、家に金なんかねーだろ」
「んな訳ねーだろ。現に持ってるぜ」
「いや、その金ってさあ…」
東が何か言いたそうにしていたが、
道路の向こう側に先公が見えたので俺はすぐに立ち上がった。
「こら!お前ら!」
「うわっ、北野だ!やべっ!」
逃げようとしたが、東は悠然と座って俺をひきとめた。
「平気、平気。北野センセエお疲れ様でーす」
ニヤニヤしながら東は手に持った携帯を北野に振りかざした。
北野は苦い顔をして何もいわずにその場を去った。
「ほらな」
「すげえ。なんか弱みでも握ったの?」
「へへ。そりゃあすげえネタよ」
「なんだよ、すげえネタって」
「おまえには見せちゃるか、ホレ」
携帯を差し出された。そこにはゲイバーで痴態をひけらかす北野の姿があった。
「マジ?コレ北野?」
「いとこが新宿二丁目でバーやってんだよ。アイツ、ホモなんだぜ。しかも、かなりの変態」
「ゲーッ」
「サドッ気があるから、他の客が逃げるって、いとこが嫌がっててさぁ」
「…やべ、想像しちった」
「で、さっきのメガネ君。北野によく呼び出されてんじゃん。部屋から出た後、執拗にうがいしてるっしょ」
「あー…」
「内申点目当てだと思ってたんだけど、金持ってるなんておかしくね?
メガネ君体育休むことも多いし。見せたくないもんが体にあるんじゃないのお?」
「ヒョロだからだろ」
「マジ援交の金だったらどーすんの?」
「男だし。お前の妄想につきあってらんねーし」
「メガネ君かわいそー」
ゲラゲラと東は笑っていた。
 ***
数週間後、俺は目の前の携帯の画像を見ながら、ない頭で考えている。
なんで俺はふたりの後をつけていったんだろう。
なんで、二人の情事を写したんだろう。

メガネ君はいつもの通り校舎裏に来た。
袋に入った金を渡したら驚いて顔をあげた。
借りた金だと言ったら、自分が渡した金より多いと言った。利子付きだと言って押し付けた。
 ***
「おまえ、最近メガネ君に声かけないねえ」
「かける理由がないし」
「北野は飛ばされちゃったし。
いい気味だけど、水戸黄門の印籠が効果ある奴がいなくなったのは痛いなぁ」
「まーな」
「新しいカモ見つけないんか?」
「いらねえ。北野で最後」
「もったいねー」
「そろそろ堅気になろうかなぁ」
「らしくねぇこと言うなや」
東がまた笑った。
「おまえメガネ君泣かせんのが好きだったんっしょ?」
「妄想好きだな、お前」「本当に泣かせたのは失敗…」
それ以上言わないように、俺は東にヘッドロックをかけていた。