※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

ノンケのイケメン→ハイテンションなオカマ

彼女と別れてヤケ酒。二日酔いでガンガンする頭を抱えながら出勤退社。
その後ブラック・アウト。記憶なし。

気付いたらベッドの上で、傍らには短い黒髪にガタイの良い男。
意識が落ちる瞬間、誰かに抱えられた気がしたが、なるほどこの男なら有り得そうだ。
黒いタートルネックセーターとベージュのパンツで実にシンプルな装いだが、派手では無いがそれなりに整った顔立ちと長身とがあいまって
同性から見ても凄く良い男に見えた。―――その時は。
「あれ…俺、ここは…。」
「あ、気が付いたの?覚えてるワケないと思うけど倒れてたんだよ君。ここは俺の家。」
「倒れたって…。」
「インフルエンザで。凄い高熱だったけど自覚なかったの?」
確かにヤケ酒する前もなんだかムカムカしてた気がするけど、まさか出勤停止命令が出るほどの病にかかっているとは思わなかった。
聞けば、既に病院に連れて行ってもらった後らしい。有難い。
「すみません…、初対面…なのに、ご迷惑…おかけして。」
「気にしないで~あ、そうだ。まだダルイだろうけど食後のお薬貰ってきてるし、何かお腹に入れとく?」
お世話になりっぱなしで悪い気がしつつも、確かに腹は減っていたのではい…と答えるとものの5分程度でお手製の卵粥と卵酒が出てきた。病人に酒…と若干及び腰になったが
「ええ~、いいんだよ~卵酒!身体あったまるし、ぐっすり眠れるんだよ!」
俺はダウンした時はいつもコレ!と、ストイックな見た目に反して朗らかに笑う彼についつい頷いてしまい、結局どちらも美味しく頂いてしまった。
その後は卵酒のお蔭か薬のお蔭か本当にぐっすり眠りに落ちたようで、朝目覚めると全快とまではいかなくても起きて歩ける程度には回復していた。
とりあえずお暇しようと、丁重にお礼を言い是非お名前と連絡先を、とお願いすると
「名前は薫。えーと、連絡先は…あ~、仕事用の名刺しか無いわ。」
ま、いいかコレで…と渡された名刺を見て俺は仰天した。それもそのはず。
名刺右上には可愛らしいピンクの丸ゴシック体でショーパブ・KAMAKAMA姫とあり、そして真ん中には黒の明朝体でドデカく…
「源氏名はカオ☆リンっていうの。君可愛い顔してるし良いカラダだったから、むしろ楽しくお世話させてもらっちゃって、こっちが有難う~みたいな~!?
本当に今回のことはお礼とか全然気にしなくてもらって良いんだけど、良かったらお店の方に顔出してくれると嬉しいかなぁ~なんて!」
勿論可愛いお友達もいたら一緒にネ!と朝早くからテンション高く巻くしあげられてあっけにとられた俺は、あいさつもそこそこに茫然としたまま薫さん宅を後にした。

でも、気付いたら。俺は居た。
例のショーパブの前に。
ここ一カ月ほど、俺の中ではあの日のことを悪い夢だと思って忘れるか否かという葛藤があった。でも無駄だった、あの強烈な印象を残した薫さんの魅力の前では。
薫さん、あなたにもう一度会いたいです。そのためなら―…勇気を出して扉を開く。
―――カランカラン♪
「アラ~~~~!いらっしゃい!キャアアア可愛い子!」
「ホントだわ~!ハンサムだわ~ハンサムがきたわ~!しかもタッパもあるしマッチョよぉ~!」
キャッキャと薫さんと同じ人種の方々に手厚い洗礼を受ける。肉厚な腕や脚に阻まれて前に進むことすらままならない。
いきなりの激しいスキンシップに涙目になり踵を返しかけた矢先
「あら、ヤダ…その子!」
聞き覚えのある朗らかな声色。彼だ、薫さんだ!
俺は期待に胸を膨らませ顔を上げた。
そこに立っていたのは、ブロンドの長い髪にブルーの瞳の背の高い美しい人だった。
「薫…さん…?」
「ここではカオ☆リンって呼んで欲しいな~。ちょっとそこのオンナども、この子はもう私がツバつけ済みだから散りなさいよ~!ほらシッシッ!」
俺を取り巻いていた人々はなによぉ~またカオルの新しい客ゥ?と口ぐちに文句を言いながら離れて行った。そしてすぐに俺の腕にスルリと絡まる新たな腕。
「…一カ月ぶりかぁー。もう忘れられたのかと思っちゃった。来てくれたのね~嬉しいわ。」
「そんな…ずっと忘れられませんでした…、薫さんを…。」
俺の瞳の奥に映った熱を感じ取ったのか、薫さんは少し目を細め、それからニコッと営業スマイルを浮かべた。その切り返しは玄人のソレだった。
「やぁ~~~だぁ~~~!アタシ口説かれてるゥ~!?」
その大声に周囲から、「調子にのんな~一見専門!」「ハンサム君~!そのオンナ元警官のバリタチだから気を付けなよぉ~!」とそこらかしこから罵声が飛び交う。
その罵声を背にクスクスと笑いながら、薫さんは俺の腕を引きながら店の奥へと歩を進める。
俺より体格が良く、今はヒールも履いているせいで更にリーチの長い薫さんの歩幅になんとか付いて行く。
「薫さん…俺…。」
「フフッ、アタシ人気者だからすぐ嫉妬されるのよネ~!見苦しいわよね~オンナの嫉妬って!」
「あの…俺…!」
俺が次の言葉を紡ごうとした瞬間、グイッ!と強い力で腕を引かれ俺の身体は個室のソファに深く沈んでいた。
息つく間もなくその上から薫さんが少し大胆な格好で俺に覆い被さってきた。
緊張の汗でソファの背もたれに全身がくっ付くような心地がしてくる。
「薫さ…。」
「和男。俺に惚れたら…抜け出せなくなるよ。」
いいの?と耳元に寄せられた薄い唇からの息遣いを感じて全身の力が抜けて行く気がした。