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チャラ男受け

ホストたるもの、身なりの差別化は必須だ。
働く男達が皆同じような見た目同じような性格だと客は集まらない。
それぞれの個性がある。
俺も同じ夜の道を歩む者として、それは理解しているつもりだ。
しかし。

「…お前それは何のつもりだ」
そんな俺の言葉が理解できないみたいな顔で、控え室に入ってきたばかりの淳は首を傾げた。
「何って…?ピアスだけどぉ?」
「…いつ開けた」
「昨日。だってもうあけるとこねぇんだもーん」
淳はその下唇の端に光るシルバーの丸ピアスを指で弾いてみせた。
痛々しく見えて思わず顔を歪めた俺に、淳はニヤリと笑って目を細める。
「なに?くちピぐらい今ドキ普通っしょ?」
そう言って鼻で笑ってロッカーを開け、仕事着であるスーツに着替え始める。
日に日に増えていく耳のピアスはしょうがないにしても、とうとう唇にまで。
硬派がウリの俺とは対象的に、典型的なチャラ男路線を行く淳にはこのカルチャーショック、理解できまい。
悶々と考えながら淳が着替え終わるのを待った。

着替え終えてもヘアセットいじりに時間がかかっている淳の背後に立つ。
「…おい」
「あらまだ居たの?何、まだ説教~?」
ロッカーの鏡から目を離さずに髪を整えている淳の肩を掴んで無理やり振り向かせる。
急な事で体制をぐらつかせた淳の体をロッカーに押し付けた。
大きな金属音。
お気に入りのワックスが床に落ちる音。
淳が言葉を発する前に、その唇を塞いで貪った。

しかし案の定、ピアスが邪魔すぎて十分に口内を堪能できない。
いったん唇を離してから
「…口のピアスは取れ、邪魔だ」
とちょっとキツめに言えば少し顔の赤くなった淳は小さく
「…はぁい」
と返事をしてのろのろと唇のピアスを外し始めた。
やけに素直だと思った。
普段もそんな風に素直なら可愛いんだかなとも思った。