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怪人801面相からの予告状


「八百人ですよ八百人!!」
新米刑事の沢木は声をあらげた。手に持っているのは今追っている事件の資料―のほんの一部だ。
何せこの事件が発生してから約五年、実に八百件の被害が起きているのだ。
「そんなことは俺が一番よく知っている。」
ベテラン刑事の武藤は煙草に火を着けながら返した。武藤はこの事件を5年前から担当している。
最初は、誰も真剣ではなかった。警察署と被害者宅に送られた予告状。
『今夜、貞操をいただきに参ります。-怪盗801面相-』
ご丁寧にターゲットの名前と時間まで書いてあるそれを誰が信じるだろうか。
しかし、被害は確実に予告どうりに行われた。
被害を把握して警察が動くようになってからも予告状のとおり貞操は奪われ続けた。
それも男ばかり。
どんなに厳しく警護しようともターゲットは煙のように消えた。
発見された時には皆貞操を奪われたうえ全身を開発されていた。
何人かの者はもう「それ」なしには生活できなくなるほどに・・・。
被害は甚大だ。一刻も早く解決せねばならない。
そして今ここに新しい予告状がある。
『今夜貞操をいただきに参ります。-怪盗801面相-』
ターゲットの名前は
『武藤慎二』
「だから無茶ですって怪盗801面相を一人で相手するなんて!」
沢木は資料をどん、と武藤の机に置いた。
「しかし、俺がいるのはこの警察署の中だし、万が一入って来ても出られないようになっている。」
「囮になるんですか。」
「今まで追っかけてきたのがあっちから来てくれるってんだ。チャンスだろ。」
あえて他に知らせず一人になるのも警察署の中で801面相の油断を誘うためだ。
「でも、俺も新米だけどこの事件の担当者です!武藤さん一人に無茶させられません!」
「お前は教習生のころから変わらんな。・・・わかった。
801面相からしたら一人も二人も変わらんだろう。しかし、頼りにしてるぞ。」
沢木の顔がぱっと明るくなった。

警察署の奥まった一室。迫る犯行予告時刻を武藤は固唾をのんで待っていた。
予告時刻の5分前-1分前-予告時刻-・・・それから5分。なにも起こらない。
「なんだこないじゃないか。」
武藤が呟いた時
「いいえ来てますよ。」
いつの間にか真後ろにいた沢木に足技をかけられ床に倒れる。そのまま馬乗りになった沢木は素早く手錠を武藤の手にかけた。
「さっ沢木っ!?」
「この技も指導員だったころの武藤さんに習ったんですよね。懐かしいなあ。」
手錠をガチャガチャ鳴らすが机の足にまわしてあって動けない。
「まさか・・・お前が・・・」
「初めて会った時から好きでした。でも男を好きになったのなんて初めてで」
「嘘だろ!?沢木!」
「やり方わかんないけど武藤さんに無理させたくないですから。だから練習したんです。数を決めて八百人。」
「そんな・・・」
「お陰で随分遠回りしちゃいましたけど、自信はありますよ。武藤さん。」
怪盗801面相はにっこりと微笑んだ。