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道化師の恋

道化師と聞いてピエロ萌えが爆発して書いてしまった
このスレに住まう神達に先に謝罪します文がおかしい上クソ長いですすいません

彼は幼い頃に顔を火傷して以来、
周りからは醜いからと蔑まれ、優しかった親にまで虐げられていた。
そして10才の頃に捨てられ、サーカスに拾われた後はピエロとして世界各地を回っている。
ピエロは顔を白く塗り、醜い素顔は誰にも見せず、人を信じられぬ醜い心も
ひたすら隠してただサーカスという道化の世界の中で生きてきた。

ある国での公演の後、いつものように
手品で花を出し客に配っていた時だった。
会社員の風貌をした男がこちらに近づいて来た。
一人で鑑賞に着ていた彼が少し気になっていたのだが、
ピエロは同じように花を差し出す。

しかし、その顔と同じように白い手は彼の大きな手に掴まれた。
そして「この花は泣きそうな貴方にこそ相応しい」と言われ、
花はピエロの衣装の胸ポケットに差されてしまう。
そして、歯の浮くような台詞に戸惑うピエロに彼は
「いつか本当の笑顔を見せててください」
と子供のように無垢な笑顔を向けられる。

いきなりの告げられた言葉に戸惑うピエロであったが、
道化師は喋ってはならない。
だから、いつもの張り付いた笑顔のまま手を振り、
ピエロは裏方へと戻って行く。

最後に笑ったのはもう10年以上の前の事なのだ。
10年以上張り付いたままのこの偽物の笑顔はいくら望まれても消せないだろう。
あの彼の笑顔、初めて言われた言葉が頭に残っているが、もう会うことはないだろう。
そう思い、ピエロは次の日の公演の準備にかかった。
しかし、彼は次の日も現れた。そしてその次の日も。
一週間の公演全てに彼はあの眩い笑顔で現れ、ピエロに話しかけた。

そして迎えた最後の公演の日、彼は悲しそうに言った。
「幼い頃から、僕は女性を好きになれずにいました」
「それを誰にも言えず、自分は普通の男だといい聞かせて生きてきました」
「しかし、10年前に遠い国で貴方を一目見て、好きになってしまいました」
「悲しそうに笑う貴方を、笑顔にしてあげたいと思い、
幼いころに見た貴方にもう一度会う夢を持ち続けていました」

彼は続けた。ピエロはただ黙って聞いている。

「しかし、ある日家を継ぐために親から縁談の申し出がありました」
「育ての親の彼らを、裏切ることは出来ませんでした」
「僕はずっと自分を偽って生きてきました」
「そして、また偽りの家庭を作り、道化のまま生きる、そう思ってました」
「でも、貴方にもう一度会うという夢が、現実になってしまいました」
「もし、ずっと変わらない泣きそうなあなたを笑顔に出来たら」
「…僕は貴方を追ってこの街を去ると決めていました」

言い終えた後、彼は辛そうに笑った

「でも、結局私は…貴方に何も残せませんでした」

告白を黙って聞いていたピエロは、今までに感じたことのない気持でいた。
彼の存在が頭の中から離れない。彼は、ピエロに大きなものを与えてしまったのだ。
しかし、道化師は喋らない。夢の中でしか生きられない。
「分かっています、貴方が道化師なのも」 僕も同じです、彼は言った。
「道化師同士、無意味な恋なのかもしれませんね…すみません」

何も感じない、偽りの世界で生きる自分に意味をくれるのかも知れない
ピエロは、この一週間、彼と関わるうちに変わってしまっていた。
しかし、自分の素顔を彼は知らない。心の内も過去も知らない。
心は全てを諦めていた。この場を去ろうとしていた。しかし、口が、10年来に自然に口から出ていた。

「・・・・私が、私が化物でもいいですか…この…この仮面の下に醜い素顔があっても」

何を言っているのだろう。
私は道化だ。そして今言った通り化物なのだ。
彼を信じてはいけない、でも彼を信じたい。
自分がわからくなっている。
彼はそんなピエロを申し訳なさそうに抱きしめた。

「無理を言いました。ごめんなさい。貴方に無理はしてほしくない。」
「僕は、もう一度、貴方に会いに行きます何年かかっても。」
「まず、僕が変わらないといけませんでした。もう、これ以上自分に嘘はつきません。」
「この街を、家を僕は捨てようと思います。」

名残惜しそうにピエロの体を話した彼は、去っていく。
去っていく彼を追いかけたいと思うが体が動かない。
泣いて呼び止めたいのにさっきまで出ていた声が出ない。
彼を信じてみたくなったのだろうか。それも分からない。

次の公演からは大陸を渡るんです、もう会うことはきっと無いんです。
そう伝えたいのに、体は石のように固まったままだ。
会えない可能性のほうが高いというのに
もし、次に逢えたら彼を信じられるだろうか、そんな期待が頭から消えない。

ピエロも彼も、もう道化ではない。道化師の恋は終わった。