小さな死

「ごめん、俺・・・男をそういう風に見れないから。」


今朝の占いは1位だった。
今月のラッキーデーは今日だった。
ラッキーアイテムのシルバーの指輪も、ポケットに入れてきた。


(あーあ、占いなんてやっぱ当たらないな)
自嘲気味に微笑んで目を閉じた・・・不意に頬に涙を感じた。
あいつが目の前で困ってる気配を感じながらも、どうしても笑って立ち去る事が出来なかった。


「失恋と死は似てる。失恋は、自分の一部が死ぬ事だから。」


いつだったか、どこかの作家が言った言葉。
ならば、俺の想いも今、死んでしまったのだろうか。
裂かれるような痛みを伴いながら、だけど苦しむ事も無く一瞬で途絶えた。


いつまで経っても形を失わないこの亡骸。
小さな死を想いながら見上げた空は、暗く滲んでた。



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最終更新:2011年04月27日 22:35