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ネズミ×ネコ

「上がる花火は軽やかに、鳴らすピストル高らかに。
さァ始まりました第二十二回干支の座争奪選手権ネコ殿対ネズミ殿、実況は拙者こと干支の座第十一位、犬めがお送りいたします」
「メェ」
「ああ食べないで、解説の羊さん資料の紙食べちゃダメ。
さて前回はネズミ殿の提案したジャンケン勝負にて五指を自在に操るネズミ殿がパーしか出せないネコ殿に圧勝したわけでありますが、今回ネコ殿の提案したる勝負方法とは、なんと度胸勝負。先に虎殿のヒゲを手に入れた方が勝ちであるとの、まさに残酷無慈悲、虎の迷惑省みない、ネコ殿お得意の残虐ファイトとなっております。ルールは無用、何がニャンでも勝てば十二支。敗者は勝者の言うことを何でも一つ聞くこと。この場合、ネコ殿のネズミ殿に対する要求は唯一つ、速やか
に十二支の座を明渡すことと明言されておられますが、過去二十一回、その願いが叶えられたことはありません。ネズミ殿、成るか?
今度もチャンピオン防衛!
おっと各馬一斉に、もとい各選手走り出しました。と言っても二名しかおりませんが。ネズミ殿、小回りの利く体を生かしてネコ殿の前へと回り込みます。尻尾が挑発的です。対するネコ殿、おや?立ち止まりましたねぇ、解説の羊さん」
「ベエエエ」
「何やら人目を憚るようにキョロキョロと、あれ、ああ!悪い笑みです!これは悪い!ネコ殿、ハサミを取り出した!何ということでしょう、自分のヒゲを切ってしまうのか!チョキも出せないほど不器用な前足を使って、ハサミを顔に近づけております、してやったりという顔です!なるほど自分のヒゲを切り、虎殿のヒゲだと偽るつもりでしょう。何という策士、何という悪知恵、さァ今まさにチョッキンと、あれ、チョッキンと、おっとハプニング、予期せぬ事態!ネコ殿震えております、ハサミを抱えたままガタガタ震えております!
そりゃそうでしょう、ヒゲはネコの生命線ですもん。
何という猿知恵、策士策に溺れたり!

さて固まったネコはほっといて、視点一転、ネズミ殿を追ってみましょう。先程迅速なる動きを見せたネズミ殿、おお、これはすごい。
もはや神速、既に虎殿に取り入っておられます。細身を生かし、肩を揉み揉み、足を揉み揉み。器用な指は、伊達じゃない。
一人で湯治に行ってしまった辰殿に対する恨みつらみに凝り固まった虎殿も、これにはひとたまりもない。ゴロゴロです、喉がゴロゴロです
虎殿、ええのんかここがええのんか!
さァネズミ殿の魔手が伸びる、伸びるがおっとここでまさかのネコ殿登場、先刻とは打って変わって今度は真っ赤、やはりブルブル震えておりますが、ああっとひっかいた、ネコ殿虎殿をひっかいた!
踏んでもないのにネコひっかいた!二人で僕の前でイチャイチャするんじゃニャイと勝手な事で暴れております、面目躍如、ネコ殿縦横無尽です。
さァ両者一斉に逃げ出しました、脱兎の如く逃げ出しました。それを追う虎殿、こちらは猪突の勢いです。追いつくか虎殿、逃げ切るかネコ殿
ネズミ殿、虎殿の牙が伸びる、伸びるが何と虎殿、ここで二名を見失った模様、普段の近視がたたったようです。目標がいきなり消失したまま駆ける、駆けるがネコ殿ネズミ殿、どうやら牛の巨体に隠れているようです。
クチャクチャ草を反芻する影でコソコソ様子を窺っておりますが、さてどうなるやら、いや違います、Vサイン、何とネズミ殿勝利宣言です、その右手には高々と虎殿のヒゲが掲げられております!
ネコ殿ガックリとうなだれました、あの騒ぎの中でどさくさに紛れて抜き取ったのでしょうか、何という早業、何というコソドロ、第二十二回十二支の座争奪戦はまたしてもネズミ殿の勝利に幕を閉じようとしております。
ああ、血走った目の虎殿が放送席に進路を変えました。
お別れの時が近づいております。立つ鳥後を濁さず、それでは勝者のお約束、二十二回目のネズミ殿の、鳴き声でない方の、ちゅー、の音を蛇足ながらお伝えしつつ、またお会いしましょう、さよなら、さよなら、さよーならー」
「メェ、もうコレ、食べてもいい?」