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冷たい手

「ぎゃあっ!」
「うわ、色気ねー」
 急に俺に触れた手の冷たいことといったらない。何つーの?
女なら確実にああコイツは雪女なんだなぁとか思っちゃう
冷たさ。……男は何だろう。雪男……だとただのオッサンだし。
 まあなんだ、そういった冷たい手が急に、しかも首筋に押し
当てられた俺の気持ちになってください。寿命縮むから。
「当てるんなら自分の首にしやがれこの野郎」
「やだよ。寒いじゃん」
 俺の体温は奪っても構わねーっていうのかこの外道。
「そんだけ冷たいんだもんな。心の底から冷たいんじゃないの
お前」
「そんな今更なこと言うなよ。黙って体温奪われてなさい」
「文字通りヒトデナシだなお前……」

 けれどその後俺をすっぽり包んだ身体は、まんべんなく
温かかった。
 そういえば雪女が迷い込んだ男に出す料理は温かかった
っけと思いながら、俺はまどろむように冷たい手の男に
ゆったりと身体を預けた。