踏みにじってください

「殺す気か!」
「う、あ、ごめ、ごめんなさい…」

彼は兵器だ。
全身兵器。
軍事用に開発された人造人間。
必殺技は小型ミサイル連射である。

「…ま、被害者もいなかったからいいんじゃないか?」
「あ、ありがとう…」
「でもオアシスひとつぶっ飛んだがな」
「ひぎっ」
「あーあーどうすんだよこの砂漠のド真ん中で水調達できねえぞお」
「あわわわわ」
「…悪かったよそんな顔しないでくれもうすぐ街に着くからさ」
「本当に申し訳ありません…」

兵器のくせにこいつはとても気が弱い
どうして開発者はこいつにこんな性格付けをしたのか
萌えか?萌え重視だったのか?

「…おしおきしてください」
「は?」
「僕は駄目な兵器です。どうか罰をお与えください。あなた様のその足で踏みにじってください」
「何言ってんだよ兵器のくせに!この変態っ」
「ひっ…!だ、だって…」
「気にするなって言ってるだろ?ほら、立てよ」

目の前で砂漠にうもれかけている兵器に手を差し出す

「…ありがとうございます」
その手を取り、立ち上がる。
触れた手はやっぱり人の温もりは感じなかった

「よし!じゃあ今日中に街に着かないとな」
「は、はい」
「いくぞ」

俺はこの兵器のことを、心から愛しく思っている。
かなわないとわかっているから、せめて、彼が不要になる日まで傍に居たいと思う。



タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2011年04月27日 21:08