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一卵性双生児

「もういい。佑子、お前とは別れる。涼、お前とは縁を切る。勝手にしろ!」
明はそう言い捨てて立ち上がった。
「明!明、待って!」と、バカみたいに大声を出す女に縋られながら、
部屋を出て行く。

これで何人目だろう?明の女を抱いたのは。バレたのは三人目か。

初めて明が彼女を紹介した時、明がどんな風にこの女を抱くのかと
考えたらたまらなくなった。
「兄の恋人を好きになるなんて、いけないことだとわかってるんだ。
でも、抑え切れない。好きなんだ!」
陳腐な禁断の恋バージョンの口説き文句は、面白いように効果的だった。

どんな風に明とするのか、一つ一つ聞き出しながら、同じことをする。
そうしているうちに明に愛された女の体が憎たらしく思えてきて、
最後にはその憎しみを叩きつけるように酷く乱暴に責め立ててしまう。
「一卵性双生児なのに、全然違うのね」と、女達は決まって言ったっけ。

そうして女達は時に明を捨てて俺を選び、時に秘密の三角関係の
気まずさに俺達二人と距離を置き離れていき。今回のように図々しく
明とも俺とも付き合い続けようという女には俺が明にばれるように仕向けて
やり。
結局、明と別れることになるのだ。

縁を切る、か...
ダメだよ。お前がいくら縁を切ろうとしても、俺はお前を追ってしまう。
お前が誰かと幸せに笑いあうのを黙って見ているなんてできない。

いっそ...いっそ、憎んでくれればいい。一生許さないほどに。

いっそ、憎んでくれればいい。
俺をその手で殺してしまいたくなるほどに...

「ああ、そうか。その手があったんだ...」
がらんとした部屋に、俺の声だけが取り残された。