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いぼ痔

いぼ痔になったので、貴方に会いに行けません。

年下の恋人から短いカードが届いてから一月が過ぎた。
今まで付き合ったどの相手より従順で、それでいて最も思い通りにならない男。
私が機嫌をそこねるのをわかっていながら、往来で跪いたり
うっとうしいほど顔を覗き込んで料理の感想を尋ねたり
繊細そうな外見や柔らかな物腰と裏腹に、家具や車の扱いが荒い
…そんな瑣末な奴の印象の断片で、今や私の頭は埋め尽くされている。
何故かいぼ痔の事にも、この一月でやたら詳しくなった。

一体どうしてしまったというのか、私は。
たかだか遊び相手の態度にこれほど気を煩わせた事なんてなかった。
つくづくあの男は、傍にいてもいなくても私の思い通りにならない…。

電話が鳴った。
フロントから、来客の知らせ。
―薔薇の花束を抱えた色白の若い男だという。
通せと一言電話口に告げ、そのままソファに身を投げ手で顔を覆った。
溜息が漏れる…いや、笑いかもしれない。
ほどなくドアを叩く音が聞こえた。
さて、何と言ってやるべきか…。

とりあえず、いぼ痔は治ったんだろうな。