※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

大好きだけど、さよなら

「必ず、帰るから」
「俺はお前を信じてる」

 ――彼、は。
 待ってる、とは言ってくれなかった。

 彼とは、生んでくれた母よりも長い時間を共に過ごした。
 身寄りのない自分を引き取り、兄のように父のように見守り続けてくれた彼。
 子供の頃は素直な憧れから、今は親愛の情を越えた想いで大好きな人。
 泣きじゃくる俺の手を取って、強く握り締めてくれた貴方の手を、今は俺から離すけど。
 戻って来た時、今度は俺が貴方の手を引くから。

 貴方はこれが巣立ちだと思ってるんだろう。
 これが来るべき別れだと覚悟していたんだろう。

 けど俺はそうじゃない。次に貴方の手を引いて、貴方が俺を守ってくれたように。
 俺が必ず、貴方を守れるように強くなって帰って来るから。

 待っててくれとは、言わない。
 待たなくてもいい、けれど俺は帰って来て、何処に居たって必ず貴方を見つけて、
 その手を掴んでみせるから。

 最愛の貴方に。
 再会した時今度こそ、気持ちを伝えられるように。

 喉まで出かかった言葉は今は、封印しておくよ。

 だから

 今は――

 さようなら。