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クールなインテリメガネ×ちょっとお馬鹿な熱血君

カリカリ、とシャーペンの音だけが響く室内。
「…なぁ」
「…」
「なぁってば!」
耳元で大声を出してやると、やっとあいつは俺の方を向いた。
銀のフレームの奥の瞳に、鬱陶しそうな色が浮かんでいる。
「…何だ。」
「何だじゃねーよ!いっつもいっつも家で勉強ばっかで飽きねーのかよ!」
俺達は一応今現在、男同士だけど恋人関係にある筈だ。
それなのに、お互いの家に行く度に甘い会話をするでもなく、試験勉強だの物理のレポートだの、
と何かと理由を付けてこいつは勉強を始めてしまう。
それなのに
「…飽きない。」
きっぱりはっきりとそう言われては、もう言い返す事もできない。
俺はすっかり脱力して、またペンを動かし始めた男をじっと見つめる事に徹した。
男の俺でもドキッとしてしまう、シャープな輪郭のラインに、通った鼻筋。
切れ長の瞳が難解な数字が綴られる紙へ視線を集中させているのを見ていると、
嫉妬の様な気持ちが湧くのをやがて抑えられなくなる。
俺は思わず手を伸ばして、細身の眼鏡を取り払ってやった。
「何をする」
「うっせぇ。こんなん掛けてっから勉強しか出来なくなんだよ。外出て運動しろ!」
ぎろっと睨んでくる眼を無視して、眼鏡を持ったまま手を大きく広げる。
実際、日曜日である今日の天気は、快晴で。
こんな陽気の下で、こいつと一緒に汗を流せたらどんなにいいだろう、と思った。
「なぁ、だから…」
「…そうだな」
言葉を続けようとして、意外な返答に俺は眼を見開いた。
「え、いいのか?」
「ああ。…俺も、丁度運動がしたいと思っていた所なんだ。」
「やった!じゃあ着替えてどっかの運動場にでも…ってうわ!!」
勢い良く立ち上がった俺の腕が、突然強く引かれる。
バランスが取れなくなって尻餅を付くと、細いけれど意外に締まった体が圧し掛かってきた。
「何すんだよ!!お前、運動って…んっ…」
反抗の言葉を言う暇もなく唇を奪われる。見上げた顔は、綺麗に微笑んでいた。
「だから、いい運動をしようと言ってるんだ…誘ったのはお前だからな。」
耳元でそう囁かれて、俺は自分の失言を激しく呪うと同時に、
今日一日がとんでもなく長くなる事を予想して大きな溜息を付いた…。