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ショーケース越しの恋

あなたを初めて見たのは、僕が初めてここに来てから6回目の夜のことだった。
あなたは僕をショーケース越しにじっと見つめてきた。
僕は人の目に晒されるマネキンだから、人の視線には慣れている。
普段は誰にどれだけ見られても何とも思わないけど、あなただけは違った。
どうしてだろう、あなたのそのきれいな琥珀色の瞳で見つめられると、
まるで火を付けられたかのように僕の木でできた胸はかっと熱くなる。
今まで僕は自分がマネキンであることに疑問も、不満も持ったことはなかったけど、
この時初めて腕を動かし、あなたの肌に触れてみたいと思った。
外に歩くカップルみたく、あなたと並んで歩いてみたい。
ううん、ただあなたと同じ目線に立てるだけでいい。

想い続けていれば、神様も人間になることを許してくれるのかな?
今日もこうして、ショーケース越しに動かない腕を伸ばす。
遠い遠いあなたに向かって。