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握り返された手

ベッドに横たわりながら、俺は軽く彼の方を見た。
彼はぐっすりと寝入り、一向に目を覚ます気配がない。

無理もない、と思った。
先程、俺は彼に強い疲労を強いる事をしたばかりなのだから。

抱かれる側の疲労がどれほどのものなのかは、俺にはわからない。
だが、終わった後、気が付けばすぐに寝入ってしまっている彼の様子を見るかぎり、相当な疲労なのだろうと思う。

俺は半身を起こし、彼の、軽く汗の残る額にかかる前髪をかき上げ、唇でそこに触れた。
当然の事だが、やはり起きる気配はない。

彼の、力なく投げ出された手に触れて、軽く握ってみる。
その時、眠っていたはずの彼が俺の手を握り返した。
俺は驚いて彼の方を見たが、彼はいまだに間の抜けた寝顔で眠っている。

ふと、彼の唇が何かを呟いているのに気が付いた。
寝言だろうか。
俺は、彼の寝言を聞き取るために、彼の手を握ったまま再び横たわって彼の口元に耳を寄せた。