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しーずむ ゆうーひにー てーらされてー
まーっかーな ほっぺたのー きーみとぼくー

沈む夕日に照らされて
真っ赤なほっぺたのキミとボク


部活動の声があちこちから響いてくる放課後のグラウンドを、一人ゆっくりと通り抜ける俺、帰宅部。
いや、本当はいくつかの部活を掛け持ちしてるんだけど、現状として帰宅部。
けど今日は、各クラスの学級委員の集まりがあって、さらに帰りがけ担任に捕まり雑用を仰せつかって大分帰りが遅くなった。
もうすぐ部活も終わりの時間じゃないか…校門に向かっているつもりが、いつの間にか立ち止まってグラウンドの一団を見ていた。
ストレッチをしている陸上部の面々のうち、一人がこちらに向かって手を振っている。
あ、見つかった。
あ、こっち来る。
まったく、俺にはときどきあいつの尻にシッポが見えるよ。
ブンブン千切れんばかりに振ってるシッポがね。
「委員チョ!何してんの?今帰り?」
別にお前を待ってたわけじゃないんだからな。ただ通りかかっただけなんだからな。
「俺ももう終わるからさ、一緒に帰んね?」
そりゃ家の方向が同じだから、ちょっとくらい待ってるのはかまわないけどさ。
部活の奴らと一緒に帰らなくていいわけ?
なんだか最近、以前にも増して懐かれてる気がする。
まあ、嫌な気はしないけどね。いいんだけど。別に。
それに俺も、あいつがちょっと気になるわけだ。いや、変な意味じゃなく。
興味?うん好奇心とかそういうやつ。
原因は、先日聞いたビックビックリ発言のせいですよ。
『なんか俺、男から告られて』
何で俺、あの時もっとつっこんで話を聞かなかったのかな。
そうすればここ数日、こんなにあいつのことばっかり考えなくてもすんだんじゃないかと思うわけ。
相手は誰なのか、クラスのやつか、部活のやつか。
仲がいいのか、どう思っているのか。
その後どうなったのか、返事はもうしたのか、その、何て、返事をしたのか…。
もう、考えすぎて脳みそが液状化しそうです。
今日こそは、今日こそは聞いてやろうと思う次第であります。

川沿いの土手をぶらぶらと二人で歩く。
影が長くなってることにはしゃいで、あいつが影踏みを始める。
仕方なく付き合う俺。仕方なくだけど、汗を掻くくらい真剣にやる俺。
そのうち息が上がって、二人して土手に寝転んだ。
「お~!夕焼け!!」
空を指差して、俺に向かって満面の笑み。
上気した頬が、夕日を浴びてさらに赤く見える。
それを見た俺はというと、訳の分からないものが身体の中心から湧き上がってきて、
顔がより熱くなるのがわかったので、逃げるように目を逸らした。
あー…なんだ、これ。何だってんだ。
そうだ、聞かなきゃなんないことがあったんだ。
聞かなきゃ、聞かなきゃと思うと、もう自分の心臓の音が聞こえるほどに動悸が激しくなって言葉が出ない。
あいつが何かしゃべっていた気もするけど、それすら耳に届かなくなっていた。
ヤバイ…何だか分からないけど、これはヤバイ。むしろ分からないことがヤバイ?
ってゆーか本当に分からないのか?分かってんじゃないのか俺?
いや分からん。まったくもって分からん。
という、エンドレスの自問自答を繰り返し始めた俺は、いつまでそうしていたのか。
気がつくと、あいつが、俺の顔を覗き込むようにして、目の前に迫っていた。
「顔、赤いぞ?大丈夫?」
そう言って、手のひらの甲を俺の頬にあてる。
俺はびくっとして思わず身体を引いてしまった。
あいつはそれを気にするでもなく、まだ俺の顔を覗き込んでいる。
大きい目だ。黒目が普通よりでかい気がする。
その目の中に俺が映ってた……それ見つけた俺は、今度は目が逸らせない。
こういうのを捕まったっていうのか?
ああもう…血管が切れそうだよ。苦しいから、早く開放してくれ。
いつまでこうしているんだと、半ば泣きそうになったところで、
「あはは、委員チョの眼鏡が鏡みたいに夕焼け反射してる」
俺の眼鏡を取り上げて、勝手に緊張の糸を切ってくれた。
ぼやけて見える川面に、夕日がキラキラ反射してるのがきれいだった。