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サディズム

僕にはパパがいた。
パパと言っても、血の繋がりはない。
代わりに金と身体と、愛で繋がる僕とパパ。

パパには奥さんと子供がいて、いわゆる僕は愛人。
それでも週の半分はパパと過ごすことができていたから、
僕は充分幸せだった。

なのに、パパはとても優しい人だったから、そんな関係にいつも心を痛めていたんだ。
本当は奥さんと別れて、僕とずっと一緒にいたいけど、弱い自分は、
いろいろなしがらみを取り払うことができずにいて、僕を苦しめているとか…
僕は全然平気なのに、こうしてパパが来てくれるだけでいいのに、
パパはいつも、すごく自分を責めるんだ。

そしてパパは、僕にお仕置きをお願いする。

ごめんなさい
許してください

そう繰り返し反省するパパを、僕が叱咤する。
時にパパを汚く罵ったりしながら、縄で縛ったり、ベルトで叩いたり、
そりゃ最初は戸惑いもあったのだけど、
泣きながら縋ってくるパパを見てると、さらに愛しさが増して、
お仕置きをしてると、どうしようもないくらい興奮するようになって、
そういうときのセックスが、また譬えようもないくらい気持ちよくて、
そのうち…ああ、愛って暴力なんだなぁ…なんて思ったもりして。

僕らの愛には、暴力が欠かせなくなっていった。

そんなある日、パパが言ったんだ。
「絞めながらやってみない?」
「絞めるって何を?」
「首をさ…気持ちいいらしい」
ああ、どっかで聞いたことがあるね。どこだっけ?
「失楽園?」
「阿部定だよ」
ああ、あの“チン切り”か…。
情夫を絞め殺して男根を切断し、それを大事に懐にしまって逃げてたっていうんだから…すごい話だ。


…そのとき、ぽわっと、僕の中に何かが生まれた。

いや、今までもきっとそれはあったのだろうけど、
ずっと隠し続けてきた、嫌われたくなかったから無視してた、
きっと独占欲って正体のそれ。
考えもしなかった。
永遠にパパが僕だけのものになるなんて。

一度顔を出した欲望は、急激に成長して、無視するどころか、
僕のすべてを急速に支配し始める。

「絞めてみてよ」
無邪気に言ったときのその笑顔も、家に帰ったら奥さんや子供にも向けてるんだって、
知ってたけど、知らないふりをしてきた今までの僕。
ごめんなさいって、繰り返し言っていても、ちっとも反省してないのだって、
僕に悪いなんて思ってないって、それもわかってた。
見ないようにしていたものを見てしまえば、もう無視なんかできない。
これは嫉妬。

あたりまえじゃん、誰にも渡したくないよ。
僕だけを見て、僕だけを抱いて、僕だけのものでいて欲しいよ。
他の誰かと話しているのさえ、嫌だよ。
僕以外の何ものにも触れてさえ欲しくない…。

でも僕は知らなかった。
叶える方法があったんだ。
どうして気付かなかったんだろう。


「うん」
僕はパパの上に跨って、パパのモノを中に入れたまま、
パパが用意して、既に自分で首に巻きつけた腰紐を手に取る。
ゆっくりと顔を下ろして、口付けをする。


「絞めるよ、パパ」