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ノン気×自称バリタチ

「一応言っとくけど、俺タチだから」
ベッドの上に正座で向かい合ってそう宣言する。
目の前の男は俺の魅力に参ったノンケだ。
まあ俺の美貌に掛かればそう珍しいことでもない。
「タチって何ですか?」
「そーんなことも知らないのかよ?こーれーだーかーら素人はぁ……」
大袈裟に溜息を吐いて見せたものの、人にモノを教えるのは嫌いじゃない。
何故ならば相手の圧倒的優位に立てるチャンスだからだ。だって俺タチだし。
「つまり、俺が上ってこと」
「ああ!成る程~」
何とも間の抜けた返事だ。もっとも、ネコとしてはこれが丁度いいのかもしれない。
ネコのことってあんま詳しくないんだよな…。だって俺タチだし。
「じゃあ早速お願いしますね!」
「おうよ」
その言葉と共に、相手の服を一枚ずつ脱がしていく。
間違っても手間取ってはいけない。
美しく優雅に且つ滑らかに執り行わなければ。だって俺タチだし。

滞りなく下着まで脱がし終えると、正座のままの男をベッドの上に押し倒した。
「…あの」
「どうした?」
「あなたは脱がないんですか?」
「え」
だって俺タチだし。いや、別に脱いでもいいんだけど。
「せっかくだから脱ぎましょうよ!さっきのお返しに僕が脱がせてあげますから!」
「え?う…ん…?」
ネコがタチを脱がせるってどうなんだろう。…有りと言えば有りな気もする。
そんなことを考えているうちに、あっという間に素っ裸にされてしまった。
…何だこいつ。ノンケなんだよな?
やけに手馴れてる気がする。
「いや…別に童貞ってわけじゃありませんから」
俺の考えていた事を見抜いたように、男が照れくさそうにはにかんだ。
ああ、そうか…。
女とやる時だって服脱がせるもんな。成る程…って。
「ちょ…何してんの!?」
「何って、続きを」
「何で俺の上に跨ってんの!?」
「え?だって俺男ですよ?」
女役やるのって何か変じゃないですか、と悪びれた様子も無く答える。
いやいやいや!俺だって男だっつの。しかもタチだっつの。
「でも、慣れていらっしゃるみたいだし…ねえ?」
ねえ?じゃねぇよ!
「大丈夫ですよ!入れるところ間違ったりしませんから!」
何だよその自信は。一体どこから湧いてくるんだよ。
そもそも俺の話ちゃんと聞いてたのか。
「聞いてましたよ。タチなんでしょう?」
ああ聞いてらしたんですか。
じゃあこの仕打ちは一体何なんでしょうか。
「だって俺もタチがいいなぁ、って思ったんで」
そうですか。はいはい良かったですね。
もう好きにしろバカ。


潔く諦めたのは、この絶望的な状況下で少しでも漢らしくあろうとする俺の最後のプライドだった。
だって俺タチだし。
…うん。…タチ…だよ、な…?