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追い掛ける背中

あんたがこの街を出てったのを、俺が知ったのは2ヶ月もあとのことだった。

「あっちで夢叶えるんだってさ。」

他校の、しかも1学年下の俺とあんたの唯一の接点は共通の夢を持っていることだった。
でもあんたは俺のことなんて・・・知らないよな。
俺は知ってる、通学路で何度すれ違っただろう。
あんたが自転車で俺の横を通る。
その顔はいつも優しい。
俺は気づかれないよう振り返り、意外に細い肩の、その背中を見送った。
前を向いたまま俺の視線に気づかないあんたは・・・
その時にはもう夢を追ってたんだな。
だからあんたは卒業してすぐ出てった。
もう通学路であんたを見ることはない。
すれ違うことも・・・
振り返ることもできない。

「俺たちも卒業したら行かねぇ?」
そう言ったのは、その話を教えてくれた友人だった。
「え?」
「だからさ、あの人みたいに!」
「・・・・・」

あんたの背中を振り返ってばかりいた俺。
あんたのいないこの街ではもう必要ない。
これからは前を向くから・・・あんたみたいに。
いつも前を向いていたあんたを追いかける。
手が届くとき肩を叩くから、その時は──

その時は笑って俺を待っていてほしい。