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公園

仕事で忙しそうにしてる瀬戸を誘ったのは良いが、
特に行く場所も思い当たらずに仕方なく公園のベンチに腰かけていた。
カップルが並んで座るように置かれているベンチの一つに
男二人で座ってるんだから、かなり異様な光景だろうな。
まあ今は人がいないから良いけど。
春だと言うのに涼しい風が吹いていて、隣の瀬戸は少し身震いしている。

まだ、コンビニには豚まんが置いてある。
さっき買ったそれを袋から取り出して、ぱく付いた。
少し熱くて、火傷しそうになるのをふうふう冷ましながら食べる。

「お前も買えば良かったのに。うまいぞ」

俺は瀬戸が何かを食べるところをほとんど見た事がない。
ちゃんと食事を摂っているのだろうかと心配になるほど、青白くて細い身体。

「いらん」

瀬戸は長い脚を組んで、ふいと横を向いた。
俺は溜め息をついて、豚まんを指先で少しちぎって瀬戸に渡す。

「ほら、やるから食えよ」
「いらんと言っているだろう。大体何だそれは」

瀬戸はいぶかしむような目で俺がつまんでいるものを一瞥した。

「豚まんだよ。食った事ないのか?」
「ない」
「じゃあ尚更食え」

瀬戸は俺のしつこい勧めに閉口したのか、肩を竦めて豚まんを口にした。
俺の指から、直接。

「・・・おい」

しかもついでに指の汚れを取るかのように、ぺろりと舐めてくる。

「・・・なるほど、庶民の食べ物か」

フンと鼻を鳴らして瀬戸がいつもの憎まれ口を叩いた。
俺は瀬戸に舐められた指をそっと押さえて、ぼそりと呟く。

「猫みたいだな」
「・・・は?」
「・・・何でもない」

俺は首を振って誤魔化して、瀬戸の肩にもたれかかった。

──冷たいくせに、時々大胆な事しやがるんだから。

赤くなった頬を隠すように、俺は瀬戸の肩を借りたまま眠ったふりをした。