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殺して?

つまらない事を言われた。
ただ、綺麗に綺麗に、いつもどおりの微笑で。
たとえば、キスする前に悪戯っぽく笑いながら『目、つぶって』と言うように。
たとえば、俺を抱きしめたとき、『あなたも俺を抱きしめて?』と言うように。

「ね、俺のこと殺して?」

なんでそんな事を言うのか、分からなかった。
分からないから余計に、腹が立つ。
理由なんて聞きたくない。俺からおまえを奪う理由なんて、聞いたって納得できないから。
だから、俺も笑顔で言ってやった。

「誰が殺してなんかやるもんか」

べ、と舌を出す。
ずっと傍に置いておくんだ。
そう言ったら、おまえは、さっきよりも綺麗に笑う。
満足そうに、それでも、少しだけ寂しそうに。
俺はおまえが寂しそうに笑うことに気付かない振りをして、笑ってやった。
両手を広げて、早く抱きしめろよ、って笑ってやった。

「俺に殺されたいんだったら、俺が飽きるくらい俺を抱きしめろよ
 そしたら殺してやる。心臓にナイフを刺して、首を絞めて、それからキスしてやるから」

音を出さずそう笑うと、おまえも、綺麗に笑った。
やっぱり少し寂しそうで、悲しそうな笑顔だったけど。
キスしてやったら、そんな色も消えていた。
うん、おまえは笑顔が似合うよ。俺の一番好きな笑顔だ。

ポケットに忍ばせてあるナイフは、まだしばらく使う予定はなさそうだ。
(だって、俺はまだまだおまえに飽きる予定は無い)
(もし、もしも飽きたら。そのときは――)