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Mなのに攻×Sなのに受

「公の場で糞の匂い振りまいてんじゃねぇ。おとなしく下水を流れてろよ糞は」

初めて彼に出会ったとき、彼は俺(とその他数人)を睨みつけて、そう言った。
小柄でまるで地上に舞い降りた天使のようなその容貌と裏腹のクールな低音ボイス。
俺たちは、そう、確か4~5人いて、それなりにそれぞれ刃物などを隠し持っていて
ちょうどその時小金を持ってそうなカモを路地裏に連れ込んで、圧倒的に優位な立場から
「交渉」を行っている最中だった。

にもかかわらず。

わけのわからぬ威圧感、有無を言わせぬ命令口調。…何よりそのあまりにも冷ややかな眼。
「本当に自分が糞であるかのような心地になった…」
と、後にその場にいた一人が語っていたが
俺はと言うと、まるで聖なる雷に心臓を貫かれたかのように…生まれて初めて味わう
甘美な痺れに、頬を染め、呼吸が浅く速くなるのを押さえられずに、思わず―

「…ご不快な思いをさせて申し訳ございません。どうか貴方様の御御足でこの糞めを土に
お帰しください。」

そう言って彼の前に跪いてしまった。
(背後からはその場にいた仲間+カモの「ええー」という驚きの声が聞こえてきたが、
それすらもそのときの俺にとっては羞恥心を煽る心地よい調べでしかなかった。)

「…なぁ、一つ聞くが」
「は、はい…」
「この世に好き好んで糞を踏み付ける奴がいると思うか?」
俺はハッとして彼の顔を見上げた。
その瞬間俺の耳の真横を彼の靴が通り過ぎ、転がっていた酒瓶が壁に当たって砕けた。
「…二秒待ってやる。消えろ」

「”逃げ遅れたら殺られる”―そう思いました…」
後に、その場にいた一人がそう語っていたが
俺はと言うと、その日から運命と言う名の鎖に繋がれた恋の奴隷に成り果てたのだった。
(例え全人類の口から「ええー」という非難の声を浴びせられることになったとしても
それは今の俺にとって火照った体に優しくなびくそよ風でしかない。)