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寝不足です

 ローションをたっぷり使いよくほぐす。
 挿入の際にはコンドームを必ず付けましょう。
 * 油性のローションはゴムを溶かすので水性を使ってね


家族が寝静まった後の深夜のリビングで、ひとり、ひっそり、パソコンに向かう。
室内照明やテレビをつけるわけにはいかない。誰か起きて来るかもしれないから。
これは秘密裏に行われなければならない。履歴もきちんと削除する。
暗闇に薄ぼんやりと明るいデスクトップにうつし出されているのは『セックス講座』
その中で俺が熟読した項目は「アナルセックス」
見紛うことなきアダルトサイトが次々と表示され、いつも母さんが料理のレシピなどを検索しているパソコンなのに、
とても申し訳ない気持ちでいっぱいになる。ごめんなさい、ああ、本当にごめんなさい。
もし見つかったら…なんてことは考えない。考えちゃいけない。
見つからないようにするんだから考える必要はないんだ。うん。
わけあって自分のパソコンは修理中につき、やむを得ずの隠密行動。
暗いところで何時間も画面を見ていたから、目が疲れて、頭も痛い。
ぶーんと低くうなる機械音が、脳みそに響いて思考力を低下させている。

 指が2本入るようになったら準備OK
 ゆっくり無理せず挿入しよう

体験談もFAQもグッツ販売まで読み漁った。
広くて深い大人の世界…大波小波に飲み込まれ打ち上げられ、深海に引きずり込まれ、海面に叩きつけられ、
すっかりボロボロの遭難者です。ありがとうございます。

 受け入れる側がリラックスしていることがとても大切です。
 力が入っていると痛いし、入らないよ!

当たり前だが、挿入する側とされる側がいるんだな…と今更気付く。
男同士でもどちらかが、どちらかで、どちらかは、どちらかなんだ。
ぼんやりした頭に、あいつの笑顔が浮かんできた。
…ホント、無駄にかわいいよな。そう、かわいいんだ、こいつ。
だから男に告白とかされるんだ。あんな風に笑ったりするから。
あいつはどっちなのか?あいつに告白したって男はどっちなのか?
そこまで本人は考えてるんだろうか…考えてるわけないな、あいつだもんな。
「アナルセックスのやり方」なっかに興味を持って、そいつとする気があるってことか?

脳みそが疲労困憊していてよかったと思う。
これ以上の妄想は今はできない。できなくていいんだけど。

…何やってんだろ、俺。
別に頼まれたわけでもないのに、こんなこと調べて俺は、親切に教えてやる気なんだろうか?
あいつが誰かとセックスする時のために?
まだ夜はちょっと肌寒い。風呂上りで髪も乾かさないままだったから、身体が冷え切っている。
へっくしっ!っと中途半端なくしゃみがひとつ…もう寝よう。
プリンタの電源を入れて印刷開始。
口頭で説明なんか到底できないから、紙で…って結局教えるつもりなのか、俺。
少し考えて、印刷した用紙をシュレッダーにかけた。

翌日、あまり眠っていないことで、とてつもなく身体がだるかった。
もう、昨日詰め込んだ知識におなかがいっぱいで、吐きそうだ。
授業開始ぎりぎりの教室に入るなり、机に突っ伏してダウン。
一時間目の授業はほとんど聞いていることができなかった。

休み時間、あいつがやってきて前の席に座り、俺の方を向く。
無駄にかわいい笑顔を振りまきながら。
「んん?珍しいね。眼鏡してないなんて」
昨晩の疲労が祟って、かけると頭が痛いんです。
見えてるのとばかりに至近距離に顔を近づけ手をヒラヒラさせる。
見えてる、見えてるからあんまり近づくな。…なんかクラクラする。
そして、俺の顔をまじまじと見ていたと思えば「なんか調子悪そう」とあいつは言った。
笑顔が心配顔に変わる。
ただの寝不足だよ、大丈夫だからと答えれば「そう?」と心配顔が少し和らいだ。

やっぱり笑顔のほうが、俺は好きだな…

一瞬そんなことが浮かんできて、妙に恥ずかしくてひとりで焦る。
かわいいとか笑顔が好きとかもう、昨日から俺は何を考えているんだ一体。
昨日に引き続き思考力低下中。やっぱりちゃんと寝ないと駄目だな。
頭に血が上っていって、身体が熱くなった。きっと顔も赤くなってるだろうと思って、慌てて眼鏡をかけた。
急にクリアになる視界。
目の前に、机に顎を乗せて俺を見上げるあいつがいる。
黙ってじいっと俺を見ている。
いつもならうるさいくらい喋りつつけているのに、どうしたんだろう?
はじめて見るだろう神妙な顔つきに、俺も声をかけることができない。
そのうち、どうやらあいつの視線の先が俺の口元だとわかった。何かついてるのか?
無意識に唇に指を当てたとき、あいつが言った。
「なあなあ…」
こいつの「なあなあ」は要注意だ。嫌な思い出がある。
でも前回とは違い、随分と趣が違うようだが。
「なあなあ」の後にまた、俺をじいっと見る間を置いて、続く言葉。
「委員チョ、キスしたことある?」


いろんな思いが頭の中で膨らんで、ボンッっと爆発したのだと思う。

席を立っら、グラリと教室が回転するんだもの驚いた。
机といすに身体のあちこちがぶつかったけれど、床に打ち付けられることはなかった。
誰かが支えてくれたんだってことだけわかった。

とりあえず、保健室で寝不足を解消すればどうにかなると思ったら、
どうやら俺は、熱があったらしく、早退させられた。

委員長、風邪をひきました。