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若旦那

「…よせ」
困ったように眉を寄せ、切れ長の眼に不似合いなほど長い睫毛が伏せられる。
僕はすこし強気になる。
「そんな口の利き方して良いんですか?」
僕の言葉に、神経質に生えそろった睫毛の間から抗議の視線が返ってきた。
「では…それこそお客様、ご冗談はおやめ下さい」
もちろん訴えは却下。
「冗談じゃ無いですよ?…それに、僕がこうして通い詰めてる」
理由をご存じなんでしょう?
そう囁くと、こわばった身体から力がゆるゆると抜けるのが分かる。
骨張った首は意外なほど澄んだ手触りだった。
そう、あなたは分かっているんだろう。
そして悩んでいるんだろう。
身体に宿るその熱に。あるいは――その薄い肩に背負うであろう人生に。
「綺麗な肌」
「…やめろ」
でも許しはしない。
あなたの欲望を暴いてあげる。
きっちり合わせた着物の襟元に指を這わせ、そのまま布だけをそっとなぞる。
「口の利き方に気をつけてくださいね」
笑顔で告げると、さっと頬が朱に透けた。