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さいたま

「なぁ、俺らどうなんの?」

暗い雰囲気の中発せられた言葉に、浦和と大宮は何も答えなかった。
それもそうだ。
今まで慣れ親しんできたこの地をもうすぐ離れなければならないのだから。
自分たちが築き上げたものを、
どこの誰ともわからないヤツに横取りされるだなんてまっぴらごめんだった。
「ちくしょうっ……!なんであんなヤツに……!!
俺たち三人でうまくいってたのに今更なんなんだよっ!!!」
与野はそう叫ぶと壁にクッションを投げつけた。
「でも…これ以上はどうしようもないよ。僕たちでどうにかなる話じゃない」
大宮が宥めるようにそう言い、浦和は床に落ちたクッションを拾い上げる。
既に二人は諦めてかけていて、
自分だけがこんなにも必死なのだと思うと、与野は悔しくて涙が出た。

しばらく無言が続くと、
ガチャ、と扉を開けてさいたまが入ってきた。
「こんな所にいたのか。いろいろと話す事あんだから手間かけさすなよ」
「てめぇよく飄々と入って来られたな!!ふざけんじゃねぇぞ!」
場の空気を読まない、明るい調子のさいたまにやり場のなかった感情をぶつけた。
罵声にひるむ事なくさいたまは与野に近づき、顔を覗き込んだ。
「ん?お前与野だっけ?可愛いねぇその顔」
「うるせぇ!出てけ!」
「…ったくしょうがねーなぁ」
今にも掴み掛かってきそうな与野に近づきソファから引き上げると、
さいたまは包み込むように抱きしめた。
「……!離せよっちくしょう」
「いいから黙って聞け!」
さいたまはジタバタと暴れる与野を黙らせると、
先ほどとは違う優しい口調で喋る。
「別にな、お前らがいなくなるわけじゃねぇ。
俺の事すぐには受け入れられないだろうし、お前らのサポートが必要なんだよ」

「……」
「だから仲良くしようぜ。せっかくの縁なんだから」
「そ、そうだよ与野!突っ張ったって何も変わらないんだから」
「俺たち三人で今できる事を考えよう」
黙って見ていた浦和と大宮も、口々にそう言った。
「…そうだな、俺もわかってたんだよ。
ただ…二人があっさりし過ぎてて寂しかったんだ。俺だけがガキみたいで」
与野は、今だ抱きしめられたままの格好で小さく言った。
最初から意地なんか張らず、こうすれば良かったのか。
ぼんやりと心の中で思いさいたまの腕から抜けようとすると、
逆にきつく締め直され、楽しそうな声が降ってくる。
「一応三つとも見てきたけどな、俺は与野、お前が一番好きだぜ」
一瞬言われた意味がわからなくて、
与野は顔を上げてポカンと口を開けたまま固まり、
理解すると共にかぁっと顔を赤らめた。
「……~~~~はぁっ!??頭おかしいんじゃねーの?!」
「交流深めないといけないからな、一緒に風呂でも入るか?」
ニヤニヤと冗談ともつかない事を言われて与野は、
一瞬でも仲良くしようと思った事を後悔した。