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寒がり×暑がり

クーラーの聞いた電車の中、あいつは平然とした顔をしているので俺はいらついた。
俺が寒がりなのを知っててあいつは弱冷房の車両ではなくこの一番冷えた車両を選んだのかと思うとそれだけで寒気が一割増。
「何、お前寒いの?」
うるせーなどうせ寒がりですよ。俺は悪態をつく。
「俺なんかここにいてもまだ暑いのに。ほれ」
確かにあいつのタンクトップは汗じみが出来ている。それはかわいそうだと思うけれど少しは俺のことも考えろ。
せめて羽織るためのシャツくらい持ってくるんだったなといまさら後悔しても後の祭り。
「さみーよ」
俺は自分の手のひらをさする。
悲しいことに俺はそこいらの女に匹敵するほどの末端冷え性で、こういうときに指先が冷たくなってかなわない。
せめて動くようにと指をさするけれど、たいした効果はえられるわけもない。
と、その指をするりとあいつの指がからめとった。何ごとかと思ってあいつの顔を見ると、
「そんなに寒そうにしてたら俺が責任感じるだろ」
そう言って、俺の冷え切った手を温めてくれているつもりらしい。
確かにあいつの手は暖かくて、俺の体の芯まで温めてくれるようなそんな感じ。
「じゃあ、あとで責任とってもらうからな。覚悟してろよ」
俺はあいつの耳元でそうささやくと、あいつはぎょっとしたけれど、すぐにくすっと笑って、
「あんまりアツクなるなよ?」
そんなふうに切り返されたものだからたまらない。
俺はきっと、こいつに一生頭が上がらないに違いない。