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世界を救った勇者×勇者の故郷に住んでいる村人A

(※昔のRPG調です)

勇者は 光の呪文を唱えた!10000ダメージ!
闇の大魔王は ばくはつし きえさった!

勇者達は死闘の果てに「闇の大魔王」を倒し、世界を破滅から
守ったのであった。

**

「勇者さまだ!勇者さまのお帰りだ!!」
村人は歓声をあげ、勇者一行の帰還を喜んだ。宿屋の女将、武器職人、道具屋
の主人、教会の神父、そして多くの人々が村の広場で勇者達を囲んでいる。
僕は輪の一番後ろでその光景を見ていた。
「勇者」と呼ばれる彼。
神の啓示を受けて「勇者」になる前から、僕はずっと彼に憧れていた。
強くて優しくて清廉な心を持つひと。僕みたいな普通の村人とは全然違う。
彼は自分と同じように神に選ばれた仲間達と冒険の旅に出た。
僕がもし剣の達人だったら。強力な魔法が使えたら。祈りで傷が癒せたら。
あり得ない事を考えては、村から出る事すらできない自分を嘆いた。
彼の無事を願う事が、僕ができる精一杯の事だった。

そして彼はついに「闇の大魔王」を倒し、伝説になった。
――彼は僕の手の届かない高みにのぼっていってしまった。
涙がこみ上げてくるのをこらえ、僕は人々の輪からそっと離れた。

僕は家の前に立っていた。いつもここに立ち、彼の帰りを待っていた。
冒険の途中、時々村に立ち寄る彼を見る事が僕の密かな楽しみだった。
「はぁ……」
「探したぞ。こんな所で何をしてるんだ?」
僕は息をのんで振り返った。彼だ。思わず顔が赤くなる。
「あ!す、すみません勇者様!――何故こんな所に?」
「これで3つ目だ」
言われた事の意味が分からず、僕は彼を見つめた。
「『勇者さま頑張って下さい』『良かったらこれを持って行って下さい』
今までこのふた言しか聞けなかったから」
「えっ……」
僕は驚いてしまった。彼が僕との会話を覚えていたなんて。
「それからこれ、とても役に立ったよ」
そう言うと彼は首にかけた紐の先を、着衣の首元から引っ張り出した。
「それは僕の……」
それは以前僕が彼に渡した『おまもり』だった。長い冒険を経た為ボロボロ
になっていて、彼の立派な身なりには似つかわしくなくなかった。
「これが何度となく俺の命を救ってくれた」
「そ、そんな物をずっと身につけて下さってたんですか?勇者様ならもっと
良い物が――」
「君がくれた物だから、ずっとつけてた」
慌てて問いかける僕の言葉を遮って彼は言った。
――僕があげた物だから?もしかして……いや、何を考えてるんだ僕は!
都合の良い想像をしてしまう頭をぶんぶんと振る。
彼は真顔になると、僕をじっと見つめた。
「この戦いが終ったら、君に言おうと思ってた事があるんだ」
傷だらけの大きな手が、立ち尽くす僕の肩をそっと掴んだ。