浮気がばれた瞬間
「おい、お前! 何やってるんだ!」
朝、起きたばかりのあいつは、俺を見たとたんに血相を変えて俺を怒鳴りつけた。
怒鳴られる理由はうすうす感づいている。だが、ここまで怒られるのは心外だ。
寝起きが悪いのか、と思っていたらいきなり手首をつかまれて上に捻りあげられた。
大変な事になった。
「目玉焼きにはソースだって言っていたじゃないか!
お前、何で目玉焼きに醤油をかけているんだ!」
「悪かった。ただ、たまには醤油をかけてみたかったんだ。
とりあえず、離してくれないか」
醤油差しを持っていた手を捻りあげられてしまったせいで、Yシャツに醤油がかかってしまった。
今日着るシャツは新しいものを出せばいい。だが、このシャツについた染みは取れるだろうか。
俺たちは二人とも目玉焼きにはソース派ではあったが、たまに浮気をして醤油をかけたくなるときもある。
あいつは断固ソース派なのでこの事は秘密にしていたのだが、とうとうばれてしまった。
一体どうしたものか。
とりあえず、あいつを黙らせてからあいつの朝食を作ってやろう。
いつもはお互いに自分の朝食は自分で作っているが、たまにはこういうのもいいだろう。
ついでに、ソースから醤油に浮気した事への怒りも、それで静まればそれに越した事はない。
最終更新:2011年04月17日 03:04