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鎖と手錠と流れた液体

文化祭のお化け屋敷など暗い室内にコンニャクでも敷き詰めれば出来上がるものなのに、わざわざ当番制でお化け役を置くことになった。
獄中で死んだゾンビ役をクジで引き当ててしまった運の悪い俺は、同じく運の悪い桐谷と一緒に客が来るのを待っている。
暗幕のおかげで直射日光が当たる事は無いのだが冷房が壊れたこの室内は蒸し暑く、雰囲気作りだと言われ後手に手錠をかけられ鎖で机に繋がれた俺たちは流れる汗を拭うことも出来ずにいた。

時折現れる客を待っていると突然桐谷が「あ。」と声を上げた。
「どうした?」
「目に汗が入って……ついでに血糊も入ったみたい。」
肩口で汗を拭こうと懸命に体をくねらせているのだがうまくいかないらしい。
「俺の衣装で拭けよ。」
「え、いいの?。」
「食紅でも目に入るのはやばいだろうし、交代来るまで後20分はあるだろ。」
「うん、ありがと水上。じゃあ動かないでね。」
桐谷は俺の前に座ると、俺の胸の辺りに顔を押し付けた――
その瞬間「きゃああ!」と黄色い悲鳴が聞こえ俺たちは入り口に目を向ける。
客であろう女の子2人は俺たちと目が合うと回れ右して行ってしまった。
あれは絶対何か勘違いしている。そう思うが追いかけることも出来ないこの状況に胃が痛くなる。
「桐谷ごめん、今の奴に何かすげー勘違いされたみてえ。」
「ううん、俺、水上とだったら勘違いされてもいいから。」
「何言ってんのお前、笑えねーぞそれ。」
「あはは、そうだね、今のは面白くなかったね。」
そう言ったきり桐谷は俯いて何も話さなかった。

後日「あれは冗談じゃないから。」と告白されるのだが、俺がどう答えたかは皆さんのご想像にお任せする。