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理想郷

水滴が残る緑の葉。水溜りに流れる青空。ふうわりと明るくなる視界。

   …お前は知ってるか?いや、その顔は知らないな。
   雲の切れ間から陽の光がカーテンみたいに地上へ差す現象を、
   「天使の梯子」って言うそうだ。
   俺は見ての通り宗教とか神なんか信じない性質だが、
   こんな時ばかりは天国とやらが存在しているんじゃないかと思う。
   ああそうだ、ユートピアとは別の意味らしいぞ?
   あれは「どこにもない場所」や「理想的な場所」という意味だそうだ。
   まぁそういう意味では天国とそう違わないのだろうけどな―

小中高と同じ学校の奴が言っていた、夢のような国。
俺にとっては、お前が教えてくれたそのすべてが夢幻じゃないかと思うくらい輝いていた。
大嫌いな梅雨や気象現象を初めとする赤点理科だって、
一瞬にしてお前が魔法をかけて色鮮やかで不思議な世界に導いてくれた。
そんなお前は今、その「理想郷」とやらにいるのだろうか。

水滴が雨に流され、青空が波紋と雲に掻き消され、視界が再び暗くなった。