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信じて待ってる

「んじゃ、行ってきます」
「待て待て! ネクタイゆがんでる、いいか、しっかり答えるんだぞ。
 いつもみたいに、アホみたいな受け答えすんじゃないぞ。
 うわお前納豆臭いんじゃね? 朝飯臭するぞ。ちゃんと歯磨いたのか、お口くちゅくちゅもしてけ。
 あ、ワキシューもしろよ、汗かくしな。あ、匂い無いやつな! あと…」

俺以上にドキドキしているらしい同居人に
玄関へと進めていた足を止められた。

「あ、あのね、もう面接終わってるから。
 今日は顔合わせみたいなもんだって言ってたし、審査は無い同然なの。
 それに、あんまりそっちに緊張されると俺もしちゃうよ」

高校を卒業し、大学で出会った先輩とすぐ恋に落ちて同棲を始めた。
4年の間に少しだけだけど先輩の背も追い越し、内面的にも大人になったにも関わらず、
先輩――同居人は4つ下の俺をいまでも子ども扱いする。

「お前、審査無いっつっても印象は大事だろ、
 ほら、あ、待て、そのネクタイ派手すぎないか!?」
「大丈夫だって。俺のこと、信じてよ」
「ばか、余裕こいてる新人が一番怖いんだよ、ほらほら、これしてけ」

心配してくれるのは嬉しいが…少し、うるさいな。
俺は大げさにわざとかがむ様にして、「自分よりも低い人にする」キスをした。

「大人しく待っててね。……信じててくださいよ。先輩」
「……判ったよ」

やれやれ。
面接が終わったらすぐに電話する事を約束し、俺は玄関を出た。