二人がかりで

見た瞬間に「押さえ付けられて」以外思い浮かばなかったことをお許しください。
で、二人がかりで押さえ付けられるシチュエーションなんかもう一つしか思い浮かばないよね。

二人ということで双子設定を受信。
でもってほとんど見分けがつかないほど瓜二つで、しかも小悪魔系の美少年な双子とか。金髪とかもグー。
あとなにか特殊な能力故に他の人たちから、親からも疎んじられてて、
お互いだけが心の拠り所だったみたいな感じ。

そんな中現れる青年。彼は例えば仕事だったり命令だったり
双子の側にいなきゃいけない関係で、彼らの面倒をみる羽目になる。
でも互いしか自分の世界にいらないと思ってる双子は、青年に反発して
むちゃくちゃ嫌がらせしてみたりして。
で、青年は「くそガキども!……ったく何で俺が。勘弁してくれよ」とか
ブチブチ言いつつ面倒見のいい苦労性タイプで、だもんだから双子も
青年の内に秘めた優しさに心を開きはじめちゃったり。

だけども自分が変わっていく事に戸惑いがあったり、青年に心を許してまた
他人に裏切られる事が恐ろしかったりで二人は自分たちの方から青年を排除しようと画策する。

青年を騙して人気のない部屋に連れ込み、二人がかりでガッチュンガッチュン。

押さえ付けられながら「何でこんな事を……」みたいな青年に
「お前が目障りだったんだ!思い知らせてやろうと思ったんだ!」
みたいな事を泣きながら言う双子。

ガッチュンはさておき双子が青年を襲撃したことが周囲にバレ、
青年は双子のそばから(彼自身の安全のために)離される。
肉体の痛みと精神の戸惑いはあるものの、青年はなぜか双子を憎めなかった。

彼らが自分に「何か」をずっと求めていた事を分かっていたからだ。
青年は彼なりに双子の事を調べ、彼らが親にも見捨てられずっと顧みられてこなかった事を知った。
そして青年はこれまでの双子の言動を思い返し、彼らが自分に求めたものに思いをはせていた。

だが青年はため息をつく。彼らには見えなかったのであろうか。それは確かに自分の中にあったのに、と

一方青年がいなくなり、また元通り二人だけの生活だ、となる双子だが
その前になぜかまた青年が現れ彼らはひどく動揺する。
双子に青年は言った。「一生そうやって生きていくつもりか」と。
自分の片割れ以外を認めず、それ以外は排除する、という生き方だ。
せっかく二人で生まれてきたのに、自分は相手で相手は自分、一人でしかない
みたいな生き方してそれでいいのか?と。それを聞いて激昂する双子。
そしてまた青年を拒絶する言葉を吐く。

「お前なんかどっか行っちゃえよ!」
「お前だって僕たちの顔なんか見たくもないだろ!?」
「「僕たちが怖いだろ?憎いだろ!?」」

だが青年は言った。
「お前たちごときくそガキ、怖くもねーし憎くもねーよ!
だけどやっちゃいけない事だったと分かってんならちゃんと謝れ。
……そうしたら許してやるからさ」
双子は衝撃を受ける。彼らは自分たちのした事が謝るくらいで
許してもらえる事ではない事を理解していたからだ。
「馬鹿じゃないの!?なんであそこまでされて許せるわけ?」
「普通無理だろ、許せないだろ!」と叫ぶが青年は強い瞳で双子を射ぬいた。
「本当に分からないのか?なんで俺がお前らを許せるのか。
なんで俺がまたお前たちに会いにきたのか--!」
それを聞きうなだれる双子だったが、しばらくの逡巡の後彼らは呟いた。

「「……ごめん、なさい。ごめんなさい、ごめんなさい……っ」」

そして青年は双子の元に戻ってきた。
相変わらず双子はイタズラ好きで青年は「くそガキ!」と怒っているが
少しずつ何かが変わっていた。双子には少しずつ好みの違いが現れて
区別がつかないと思われていた見た目にもわずかな変化が現れ始めていた。

それを青年に指摘され、嬉しがりながらも照れる双子だが
同時に彼らは今まで「同じ人間」として振る舞ってきたが故になかった
片割れへの嫉妬を感じはじめていた。それが一番大きな違いだった。
彼らはようやく本当の意味で「二人」になったのだった。

双子は魅惑的な笑顔で顔を見合わせる。新たな人生も、勝負もまだ始まったばかりだ。

どちらが青年の心を独占するか。それが問題なのだ。
そして今日も双子は青年の気持ちを自分に向けようとイタズラに精を出すのであった。
(終)


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最終更新:2010年11月18日 17:50